家づくり

天井高はどのくらいあるといい?最適な高さと決め方

住まいを購入する時はさまざまなポイントを見ることになりますが、天井高を気にしている人はどのくらいいるのでしょうか?実は、天井高は部屋の雰囲気や住みやすさを左右する大切な要素です。今回は、家づくりを検討している人に向けて、天井高の最適な高さや決め方についてお伝えしていきます。

1.最適な天井高はどれくらい?

普段生活をしていて、自宅の天井高がどのくらいなのかを気にする人は少ないかもしれません。しかし、いざ自分が家を購入するとなると、どの程度の天井高があればいいのか疑問に思う人も多いでしょう。まずは、一般的な一戸建ての天井高はどの程度なのか、最適な天井高の目安について見ていきましょう。

一般的な一戸建ての天井高はどれくらい?

一般的な一戸建ての天井高は、2m20cm2m40cm程度です。居室として利用する部屋は、天井高が2m10cm以上なければならないと法律で決められているため、2m20cm程度の天井高にするケースが多くなっています。
建物全体の高さによっても変わりますが、1階部分は2m40cm程度、2階部分は2m20cm程度にするのが一般的です。2m20cm2m40cm程度が、一般的な一戸建ての天井高と考えておくとよいでしょう。

最適な天井高の目安はどれくらい?

最適な天井高は、部屋によっても変わってきます。まずリビングですが、家族だけではなくお客様も訪れる場所なので、ある程度の広さは確保しておきたいと考える人が多いでしょう。
大人が立った時の目線はおおよそ1m50cm程度になりますので、人が集まっても窮屈に感じないように、2m40cm程度の天井高は確保しておくと良さそうです。
ただし、シーリングファンを設置する場合には注意が必要です。大きなシーリングファンを天井に設置すると、部屋が窮屈に感じてしまう場合がありますので、設置するシーリングファンのサイズを考えて、天井を高くしておくと安心です。中には2m40cm程度の一般的な天井高の部屋に設置できるシーリングファンもありますから、そのようなものを利用するのもよいでしょう。

 

【ダイニング】は食事をする場所なので、椅子に座って過ごす時間が長くなります。座った時の目線はおおよそ1m10cm程度になるので、2m20cmの天井高があれば窮屈さを感じません。キッチンは、吊り戸棚やレンジフードなど、天井付近にさまざまな設備を取り付けるケースが多いので、それを考慮して天井高を考える必要があります。吊り戸棚は60cm80cm、レンジフードは50cm60cmが一般的なサイズ。天井を低くしすぎると、吊り戸棚やレンジフードが邪魔になり作業スペースが確保できなくなりますから、キッチンの天井高は2m30cm程度にしておくとよいでしょう。

 

【寝室】は、天井を高くしすぎると落ち着かない空間になるということで低めにするケースが多いです。ただし、あまり低くしすぎるとベッドから起き上がる時に頭をぶつけたり、移動しにくくなったりするので、ベッドの高さも考慮しなければなりません。最低でも、ベッドの高さプラス1mの天井高は確保しておきましょう。二段ベッドを置くご家庭ならば2m40cm以上確保しておくと安心です。

 

【玄関】の天井高は、ドアの高さを基準に決めるようにしましょう。玄関のドアは、既製品であれば2m20cm2m30cmが標準的なサイズです。玄関框の高さがあるので、それをプラスして2m40cm2m50cm程度の天井高にしておけば問題ありません。玄関は人が出入りする場所ですが、長居することはあまりないので、無闇に天井を高くする必要はないでしょう。玄関の天井を少し低めにしておくことで、リビングなど他の部屋が広く感じるという効果もあります。

 

【和室】の場合、洋室よりも天井を低めにするのが一般的。床に座って過ごすことが多いため、座った目線の高さに合わせて天井高を決めます。座った時の目線の高さは90cm程度です。部屋の広さにもよりますが、天井高は2mあれば十分な広さを感じられます。ただし、和室を居室として利用する場合には、建築基準法で定められた2m10cm以上の天井高にする必要があります。

2.天井高についてのメリット・デメリットや注意点

【メリット】
やはりなんといっても、開放感を得られるということです。
目線内に天井があると、人は圧迫感を感じてしまいます。天井を高くして、生活している時になるべく天井が目に入らないようにすれば、広々とした空間に感じることができます。部屋を明るくできるというのも、天井を高くするメリットです。天井を高くすれば、高い位置に窓を設置したり、大きな窓を取り付けたりといったことができます。
部屋に大きな窓があれば、外からの光を十分に取り込めます。部屋の日当たりをよくしたい場合には、天井を高くするとよいでしょう。
また、大きな窓を設置できるようになれば、部屋の通気性もよくなります。閉め切った部屋は、湿気や匂いが溜まりやすくなりますよね。天井を高くして大きな窓を設ければ、気軽に部屋の換気ができます。高級感を演出したい場合に天井を高くするケースも多いです。広々とした部屋はそれだけでも高級感が出ますし、シーリングファンを取り付けてよりラグジュアリーな雰囲気を出すこともできます。
天井を高くすることで、通常は設置が難しい設備や家具を選べるようになるのは大きなメリットでしょう。

【デメリット】
まず気にしておきたいのが光熱費に関してです。天井を高くすると部屋の空間が広くなるため、冷暖房の効率が悪くなってしまいます。
開放感を出したいからといって無闇に天井を高くしてしまうと、光熱費の高さに住み始めてから後悔してしまうかもしれません。現在は断熱性に優れた住宅が多いですが、天井を高くする場合にはシーリングファンを取り付けるなど冷暖房の効率を上げる工夫もできるといいですね。
コストが高くなりがちなのも天井を高くするデメリットの一つ。天井を高くすると、家を建設する時の材料が増えたり、作業の手間が増えたりするため、当然コストが高くなります。天井高を決める時は建築コストが予算内に収まるかしっかりとチェックしましょう。他には、高い位置にある照明の交換や掃除がしにくくなるといったデメリットもあります。

天井高を上げる時の注意点

天井高を上げる時は、部屋のインテリアにも注意しなければなりません。
天井高を上げて大きな窓を設置した場合、通常サイズのカーテンでは合わないケースが出てきます。既製品には合うものがなく、オーダーメイドでカーテンを作らなければならないケースが出てくるということです。また、家具も天井高に合わせてサイズを決める必要が出てきます。
一般的な天井高よりも高くしてしまうと、それに合うインテリアを探すのに苦労する、余計な費用がかかってしまうといったことがあるので注意してください。
また、天井を高くするデメリットをどのように対処するか考えておくことも大切です。天井を高くすると部屋の体積が大きくなり、暖房の効率が悪くなります。それを防ぐためには、断熱性と気密性が高い住宅にする、床暖房を設置するなどの工夫が必要です。また、照明を高い位置に設置することになるため、手元の明るさが不十分になってしまうかもしれません。
その場合は、手元を照らす用の照明を別に用意しておくといいでしょう。

3.天井高についてのまとめ

天井を高くすることは、「開放感を得られる」「採光性が高まる」「部屋の通気性が良くなる」などさまざまなメリットがあります。しかし、最適な天井高は部屋の種類やご家族の求めるものによって変わってきますので闇雲に高くすればいいわけではありません。
予算やメリット・デメリットを考えて天井高を決めるようにしてください。

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監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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