家づくり

後悔しないビルトインガレージのつくり方や間取り|メリット・デメリット教えます!

ビルトインガレージのメリット・デメリットなどとともに、後悔しない造り方を解説します。

1.そもそもビルトインガレージってなに?特徴は?

ビルトインガレージとは、建物の内部に組み込んだ車庫のことです。インナーガレージともいいます。まずは、ビルトインガレージのタイプの違いやメリットやデメリットなどを見ていきましょう。

シャッター付?カーポートタイプ?どんなタイプがあるの?

 

ビルトインガレージは主に、シャッター付きのタイプとシャッターなしのカーポートタイプに分かれます。
シャッター付きタイプは、閉じれば車の四方を囲えることが特徴です。シャッターの種類はさまざまで、シャッターの上部に設けたボックスにシャッターを収納できる「巻き上げ式」、天井部分にシャッターがスライドする「オーバースライダー式」、ベルトでシャッターを巻き上げる「ベルト式」などがあります。
カーポートタイプは、ガレージの出入口部分またはそのほかの部分も開いた状態になります。開放的でシャッターの開閉をする手間がないメリットがある一方、雨風はシャッター付きタイプよりも防ぎにくくなります。

ビルトインガレージのメリット

ビルトインガレージの大きなメリットとして挙げられるのは、車を風雨から守りやすいことです。建物と別棟になったガレージには、天井のみ設けたカーポートや四方どこかの壁がないタイプも見受けられます。このようなガレージは車が風雨にさらされやすくなり車体の汚れや劣化に繋がる可能性があります。一方、ビルトインガレージはドアやシャッターなどで風雨を完全にシャットアウトできるので、車体をより保護しやすいのです。なお、外部から簡単にガレージ内に侵入できない構造により、セキュリティ面でも高い安心感が得られます。

 

車に乗る際に外を通らなくても良い点もメリットと言えます。ビルトインガレージはガレージと建物の居住スペースが繋がっているため、外を通らず建物内で行き来ができるのです。天気が悪いときでも外に出ることなく車に乗り込み出発できるのは魅力的ですね。
また、建物の中にガレージを組み込むことにより、外にガレージをつくらなくても良いため、敷地が狭くても駐車スペースを確保できます。敷地が狭い場合、狭小住宅を建てるケースもよく見られますが、ビルトインガレージは狭小住宅の内部につくることも可能です。
そのほか、ビルトインガレージはその面積によっては建物の容積率からガレージ分が除外されます。そのため建物の評価額が下がりやすく、固定資産税が安く抑えられる場合もあります。節税に繋がりやすいこともメリットの1つでしょう。

ビルトインガレージのデメリット

ビルトインガレージのデメリットには、建物1階の居住スペースが狭くなることが挙げられます。限られた敷地の中に住宅を建てるとなると、1階部分に使える面積も決まってきます。その中で、1階の大部分をガレージに充てることになるので、居住スペースを広くとるのは難しくなるでしょう。また、車のニオイもデメリットの1つ。ビルトインガレージは建物と繋がっているため、排気やオイル、燃料のニオイなどが建物内に届きやすいのです。ニオイのほかにエンジン音やドアの開閉音など、車の音も建物に響きやすいため、この点もネックと言えそうです。
もう一つ気になるのは建築コスト。ビルトインガレージは建物の1階部分に大きな空間ができることになるので、建物の強度をいかに上げるかが課題になります。強度をプラスすると結果的に費用がかさむ場合もあります。

2.ビルトインガレージの間取り

それでは、ビルトインガレージの間取りについて、面積の目安と坪数ごとの間取り例を紹介します

ビルトインガレージの面積目安

ビルトインガレージの間取りを考える際は、まずどのくらいの面積にするかを検討します。ビルトインガレージの面積の目安はガレージ内に停める車の台数によって変わりますが、1台であれば45坪ほどが目安、2台であれば10坪程度を目安とするとよいでしょう。なお、面積を決める際は、建物の坪数や間取りとのバランスも考えることが大切。例えば、建物面積が小さい狭小住宅などは1階の間取りがほぼガレージで占められることになるでしょう。3040坪の一般的な住宅であれば、間取りの幅も広くなります。ただし、2台置きするビルトインガレージなどは住居部分を圧迫する可能性も。なお、ビルトインガレージの面積によって固定資産税額などに影響が出るので、実用的な面や税金面、さまざまな方向からどのくらいの面積がベストかなのかを考えることが大切です。

ビルトインガレージ30~35坪の間取り例

この坪数の建物にビルトインガレージを組み込む場合は、余裕のある広さのガレージをつくりつつ、生活に支障のない面積の居住スペースを確保することも可能です。よく見られる間取りとして、建物の正面部分にビルトインガレージと玄関を置き、その奥に生活空間を配置するというものです。2階建てであれば3LDK程度の設計が可能でしょう。1階部分に小さめの部屋を2つ配置し、2階部分にリビングやダイニングを置くなども1つです。ビルトインガレージによって1階の居住部分は光が差し込みづらくなりがちなので、家族が集まり生活の中心となるスペースなどは2階以上に配置するケースが多く見られます。水回りも全て2階に配置すれば、リビング・ダイニング部分との動線がスムーズになり、より過ごしやすくなるでしょう。

ビルトインガレージ40坪の間取り例

40坪となるとさらに間取りの幅が広がります。ビルトインガレージを組み込んだとしても、1階の居住部分はかなり広くとれるでしょう。この特徴を活かし、ビルトインガレージの位置を工夫して1階に広いリビング・ダイニングスペースを配置するのも1つの考え方です。ガレージの奥にリビング・ダイニングを置くのではなく、ガレージと並べる形で設計すれば、ガレージに光を遮られることもなくなり採光面の問題をクリアできます。また、同じフロアにあるためビルトインガレージからリビング・ダイニングに向かいやすいこともポイントと言えます。車で買い出しに行った後、食材をキッチンに運ぶ場合も、このような間取りであれば効率的ですね。2階部分にはプライベートスペースのほか、水回りを配置するのも良いでしょう。例えば、洗濯機は浴室周辺に配置されることが多いですが、2階に浴室があれば洗濯後にバルコニーなどに干すのも楽になりそうです。

3.ビルトインガレージを作る時の注意点

自分の理想のビルトインガレージをつくるため、設計段階から気を付けておきたいこともあります。最後に、ビルトインガレージをつくる際の注意点を紹介します。

車からの動線を考慮する

使いやすいビルトインガレージをつくる上でしっかり考えるべきなのは車からの動線です。例えば、車から降りた後、建物内に入るためのドアが車から遠い場所にあると面倒ですよね?また、降りてからの動線上に邪魔になるような物を置いたり、歩きにくい構造にしたり、動線に支障をきたすような間取りは考えものです。せっかくのビルトインガレージなのに使いにくい状態では車を停めるのが億劫になってしまうかもしれません。それを防ぐためには、車からの動線を具体的にイメージして、効率的に動けるかどうかビルトインガレージの設計の段階からしっかり考慮する必要があるでしょう。

騒音・換気に注意する

ビルトインガレージのデメリットの部分でも述べましたが、建物と一体化している構造上、建物内において車の騒音やニオイが気になる可能性があります。これらのデメリットを少しでも緩和できるよう工夫することも大切です。
例えば、ビルトインガレージの壁に防音性の高い資材を使うのも1つの方法。寝室など特に音やニオイの影響を避けたい部屋は、ガレージの側につくらないなどの工夫も考えられます。
また、ニオイが建物内に届かないよう、ビルトインガレージ内を換気しやすい造りにするなどもポイントです。
完全にシャットアウトすることは難しいかもしれませんが、つくる段階から気を付ければ、ある程度気にならないようにすることは可能です。

ビルトインガレージ内に電気工事はしておきたい

現在は脱炭素の動きが高まり、電気自動車も徐々に普及してきています。
将来的に電気自動車を購入する可能性も考え、ビルトインガレージ内に予め電気工事を施しておきたいところです。
電源を作っておけば、もし電気自動車を購入した場合もビルトインガレージ内で容易に充電ができます。予め作っておかないと、電気自動車の購入に合わせてガレージ内の電気工事も行わなければならず煩雑になりかねません。

また、電気自動車を購入しなくても、電源があるととても便利!例えば、ガレージ内を掃除する際に電源があれば掃除機を簡単に繋げます。「将来的にこんな設備があったら便利かもしれない」というイメージを膨らませながら、長期的な目で見て便利なビルトインガレージを考えてみてください。

ビルトインガレージを作る際、固定資産税に注意

ビルトインガレージのメリットの部分で、固定資産税が安く済む可能性があることを述べました。この固定資産税は、ビルトインガレージの構造によっては安くならない場合もあるため注意が必要です。具体的には、ビルトインガレージの面積が建物の総面積の1/5を超えると、ガレージの分も容積率に含まれることになります。そのため、ガレージの面積を1/5以下にした場合よりも建物の評価額が上がり、固定資産税も高くなることに。節税を意識するなら、ビルトインガレージの面積に注意しながら設計しましょう。

4.ビルトインガレージについて知識を深め自分のイメージ通りに設計しよう

自分の思い描く通りのビルトインガレージをつくるためには、ビルトインガレージに関する知識を深め、さまざまなことに注意しつつ設計を行う必要があります。「できあがったもののイメージと違った」など後悔に繋がらないよう、ガレージを含めた生活動線を具体的にシミュレートしながらベストな面積や間取りを考えてみてくださいね。

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監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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