家づくり

アレルギーにやさしい家づくりとは?

「アレルギー」アレルギーにはさまざまな症状があり、発症の原因にも色々なものがあります。今回はアレルギー症状を起こしにくい住まいを解説します。

1.アレルギーやシックハウス症候群の原因は?

そもそもアレルギーやシックハウス症候群は、どのような原因で起こるのでしょうか?
アレルギーというのは、体内に何らかの微生物や異物が侵入した際、それらの異物に対して免疫が過剰に反応を引き起こし、体に何らかの害を及ぼす事を指します。
アレルギーが起こると、咳やくしゃみ、肌のかゆみ等の症状が発生します。軽度であれば、服薬や塗り薬などで鎮静させることもできますが、症状が酷いと慢性皮膚炎や呼吸困難、場合によってはショック症状など重症化するケースもあるため、決して甘く見てはいけません。

アレルギーの原因にもなるハウスダスト

家の中で起こる可能性のあるアレルギーの代表格が、ホコリやカビ、ダニの死骸や糞といったハウスダストと言われるものです。
ハウスダストは空気中に舞い上がり、呼吸することで体内に入ってしまいます。
ベッドや枕などの寝具、マットレスやカーペット、ぬいぐるみなどにはダニが多く潜んでいるものです。自宅でペットを飼育している場合、ペットの毛・フケなどがアレルギーの原因になることもあります。
特に小さいお子さんの場合、マットの上でハイハイしたり、ぬいぐるみを抱いて寝たりする機会も多いため、大人よりもハウスダストの原因物質を吸い込みやすいので注意が必要です。
小児喘息の原因の8090%は、ハウスダストに含まれるダニの糞と死骸と言われています。

ハウスダストの対策

家づくりをする上でのハウスダスト対策としては、まず、できる限りカーペットやマットなどを敷かないようにするのがポイントです。
特に毛足が長いカーペットなどはダニやホコリの温床となりやすいので要注意です。どうしてもカーペットを敷きたいのであれば、なるべく毛足の短いタイプのものや防ダニ加工が施されているものをおすすめします。もちろん、こまめな掃除も不可欠です。
洗えるものはこまめに洗濯するようにしましょう。ダニは60度以上の熱水で死滅します。最近はハウスダストの原因物質まで徹底的に除去する掃除機も登場してきていますので、そのようなアイテムを活用するのも良いのではないでしょうか。
空気中に舞ったハウスダストを除去するのには、空気清浄機も有効です。

シックハウス症候群と化学物質過敏症

家づくりにおいて、アレルギーと同様に注意したいのがシックハウス症候群です。
シックハウス症候群は、家を建てる際に使われる建築材や内装材などに含まれる有害化学物質が高濃度になっていることが原因の場合があります。
ホルムアルデヒドやトルエンなどがよく知られています。主な症状には目がチカチカする、咳やくしゃみ、頭痛や吐き気などが挙げられます。アレルギー体質の人が発症しやすい傾向にあります。

シックハウス症候群はいわゆる化学物質過敏症と混合されることもありますが、実際には似て非なるものという存在です。シックハウス症候群というのは完全にその住宅そのものに原因があるため、家を出れば症状が緩和されます。
一方、化学物質過敏症の場合、化学物質そのものに過敏な状態のことなので、普通の人では症状が出ない程度の濃度でも症状が出てしまいます。
シックハウス症候群にはいまだ未解明な部分も多く、日常生活を送る事も困難になってしまう為、配慮が必要です。

シックハウス症候群への対策

シックハウス症候群の対策には、まず、家を建てる際には使用する建材をしっかりと見極めることが重要です。接着剤や壁紙、断熱材などには、シックハウス症候群の原因となる揮発性有機化合物が含まれることが多いので特に注意が必要です。最近はシックハウス対策を施した建材も多く取り扱われていますので、業者に任せっきりにするのではなく、よく話し合って決めていくようにしましょう。また、このような化学物質は空気中に放散されていくものなので、定期的にしっかり換気をすることも重要なポイントです。
エアコンや換気扇のメンテナンスもしっかりとおこないましょう。

使うもの使わないものに順序をつける

アレルギー症状やシックハウス症候群を抑え、健康的に過ごすためにはどのような工夫をすればよいのでしょうか。こまめな掃除や換気は大切ですが、不必要なものは家の中に置かないように心がけることも大切です。
例えば、押入に仕舞いっぱなしにしている古いぬいぐるみや座布団などはありませんか?そのようなものがダニやカビ、ホコリのたまり場になっているかもしれません。また、クッションやマット類なども見直してみましょう。必要なものからあまり使わないものまで順序を付けていくとわかりやすいですよ。
頻繁に使うものでなければ、思い切って処分するのもハウスダストが原因のアレルギーを抑える手段として有効です。掃除の手間も減りますし、収納スペースの確保にも繋がります。

2.これから家づくりをする方はココに注意

家づくりの際には、部屋の間取りや窓・換気扇の位置などを決めることもあるでしょう。空気がよどむ場所があると、湿気やハウスダストも溜まりやすく、シックハウス症候群が起こりやすくなります。もちろん、立地などによっても左右される部分も出てきますので、周囲の環境を十分に加味した上で、体にもやさしい健やかな家になるよう住宅会社の方と相談し合うことも大切です。

収納しても引き出しやすく

家の中がモノで溢れているとダニやホコリが溜まりやすくなるため、アレルギーの原因にもなってしまいます。押入やクローゼットの中にぎゅうぎゅうに詰め込むのではなく、収納する際はある程度ゆとりをもたせるようにしましょう。タンスや机の引き出しなども、適度にゆとりをもたせることによって通気性も高まり、ホコリはもちろんカビも抑えることができます。
収納スペースは2割ほど空けておく位がおすすめです。定期的に中のモノを見直し、長く使っていないものは処分するようにしましょう。

3.アレルギーが出にくい家づくり

アレルギーが出にくい家にするためには、ハウスダストを発生しやすいものを極力置かないことと、普段から掃除しやすい状態をキープしておくことが大切です。例えば、照明一つとっても、凹凸が多いものはその分ホコリが溜まりやすく掃除もしにくいですよね?フラットタイプにすることで、ホコリも抑えられますし、掃除も楽になります。
家具やインテリア雑貨を選ぶ際はデザインだけでなく、お手入れしやすいかどうかも考えると良いでしょう。

和室はとても落ち着くスペースではありますが、畳は条件が重なると非常にダニやカビが発生しやすいものです。和室が欲しいのであれば、畳の素材自体に配慮したり、畳の上にゴザやカーペットなどは敷かないようにして防虫対策をしっかりしましょう。
定期的な乾拭きや日干しも大切ですし、湿度管理ができるよう空調設備を整えておくのもおすすめです。

シックハウス症候群が出にくい家づくり

これから家づくりをするのであれば、先にお伝えした通り、建材などを選ぶ際にはシックハウス対策がなされたものを用いるようにしてください。
フローリングや壁紙に使われる接着剤などにも化学物質が多く含まれていることがありますので、どのような素材なのかしっかりとチェックしておきましょう。

湿気によるカビもシックハウス症候群を引き起こす原因の一つです空調設備を整え、通気と湿度の管理がしやすいようにしておくのもシックハウス症候群を予防する鍵と言えるでしょう。家の中に結露が生じるとカビが繁殖しやすくなってしまいます。安心できる断熱材や結露ができにくい窓を選ぶようにしましょう。
24時間換気システムも有効ですが、季節に応じて除湿機や加湿空気清浄機などを上手く併用するとより効果的ですよ。

また、床に置かずに浮かせられるものは浮かして設置する手もあります。タンスやベッドなどを脚付きタイプにすることによって通気性がアップします。衣類や寝具などの湿気も軽減させられますし、掃除がしやすくなる分ハウスダスト対策としても有効ですよ。
ストッカーなどもキャスター付きのものを選ぶとホコリが蓄積しにくくなるでしょう。

 

シックハウス症候群の原因となる有害物質は、なにも建材や家具だけに含まれるという訳ではありません。カーテンの難燃剤、フローリングワックスなどにも含まれています。さらに芳香剤や防虫剤、殺虫剤といった日用品の中にも含まれていることが多いので注意が必要です。このような物を利用するのであれば、より一層こまめに換気をするように心掛けるようにしましょう。
シックハウス症候群の予防には、とにかく部屋の中に有害物質が留まらないようにするということが一番重要なのです。

 

4.アレルギーにやさしい家づくりのまとめ

家は人生において一番大きな買いもの、と言っても過言ではありませんし、長く住み続けたいからこそ失敗したくないものです。家にいることで健康が害されることが起きてしまってはいけません。
素敵な家を造るのであれば、家族みんなが健やかで安全に安心して過ごせるのが一番望ましいことですから、是非、家づくりの参考にしてみてくださいね。

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監修 一級建築士 代表取締役 原 康人氏

株式会社三建コンサル

個人・法人のお客様から土地や建物に関するご相談(空き家、相続、土地建物の売買など) を伺い、ご提案をしながら一緒に解決策を見出しています。 建築設計はもちろん、土地の測量、農地転用や市町村の申請書類作成も行っており、「土地 から建物の相談役」として 皆様の お役に立てるよう努めています。

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