家づくり

狭い土地に快適な一戸建てを建てるコツは?失敗しない家づくり

理想的な狭小住宅をつくるために、狭い敷地であっても快適に暮らせる家づくりのポイントをご紹介します。

1.狭小住宅を建てるメリット・デメリット

そもそも狭い土地とは?

狭い土地に具体的な大きさの定義はありませんが、一般的には、マンションやアパートを建てるには難しい土地のことをいいます。
狭い土地のことを「狭小地」といい、そのような敷地に建てられた一戸建てを「狭小住宅」と呼びます。
狭小住宅にも大きさの定義はありませんが、おおよそ15坪(50m2)以下の敷地に建てられる住宅のことで、主に都心部などの地価が高い場所で多くみられます。
土地の形は、奥に深い縦長の形状であったり、三角形のようだったり、くの字型などさまざまですが、狭小地・変形地でも設計の工夫などで十分に快適な暮らしはできます。
狭い土地に一戸建てを建てると「生活するのには狭そう…」「住みにくそう…」といったイメージを持つかもしれませんが、工夫次第で暮らしやすくデザイン性の高いおしゃれな家を建てられます。

コンパクトな土地に家を建てるメリット

メリットの一つ目は、土地費用を抑えることで都心部や駅近など立地条件の良い場所でも一戸建てが持てることです。立地条件が良い場所に一戸建てを持つと、利便性の高い暮らしができます。

メリットの二つ目は、土地が狭い分、固定資産税や生活コスト、維持コストを抑えることができる点です。面積が狭ければ日々の冷暖房効率も上がりますし、修繕箇所も少なくて済みます。狭小住宅であれば、色々な面でコストを抑えることができるので、その分を内装費用に充てたりお気に入りの家具や家電を取り入れて、おしゃれな理想の家を造り上げることもできますね。

メリットの三つ目は、狭い土地に家を建てる場合は家だけでなく庭も小さくなるため、庭のお手入れにかかる時間も短縮することができます。仕事などで忙しく、庭のお手入れにあまり時間のかけられない方などには嬉しいポイントではないでしょうか。

狭い土地に家を建てるデメリット

デメリットの一つ目は、建築費が抑えられない場合があることです。狭い土地に建築資材を搬入する際、敷地が狭いことで、大型トラックで一度に運ぶことが難しくなり、小型の軽トラックでこまめに何度も搬入したり、車が通れない場所であれば人力で運んだりしなければなりません。また、工事する際の駐車場や資材置き場の敷地が確保できない場合は建築費用が高くなってしまう場合もあります。

デメリットの二つ目は、土地が狭いため近隣住宅と密接していることが多く、風通しや陽当たりが悪くなってしまったり、外壁メンテナンスのときに足場が組めなくなってしまったり、プライバシー確保が難しいことがあります。そのような場合は、窓の位置や高さを変えるなどの工夫をすることでプライバシーを確保するようにしましょう。

デメリットの三つ目は、上下階への移動です。コンパクトな土地に家を建てると、床面積を増やすために上階や地下を造る必要がありますが、日々の暮らしの中で頻繁な上下階への移動は大きな負担になるものです。ですから、なるべく上下階の移動回数を減らせる間取りやスムーズな生活動線の工夫が必要になります。

2.狭小住宅で住みやすくするには?

間取りの工夫

空間の区切りを減らす。
部屋を壁で区切ってしまうと壁のスペースがある分、圧迫感のある部屋になりますが、空間の区切りを減らすことで、圧迫感のない広々とした空間になります。区切りたい箇所の天井にカーテンレールなどを設置すれば、開閉で簡単に空間を区切ることができ、場所を圧迫することなくフレキシブルに活用できます。

 

②天井を高くして吹抜けをつくる。
天井を高くして吹抜けをつくることで閉塞感を感じさせずに開放感のある住空間を生み出すことができます。また、吹抜けは部屋全体が明るくなる効果もありますし、洒落た照明器具を付けたり、梁を見せるなど演出も楽しめるでしょう。

 

③スキップフロアにする。
ドアや壁などで空間を区切るのではなく、一階と二階の間に中二階の層をつくるように、床面の高低差で空間を生み出すスキップフロアにすることで、立体的かつおしゃれな印象になりますし、段差があることで平坦な床に比べて視覚的に広くみえるのもポイントです。スキップフロアの空間は、居住スペースや収納スペースにするのはもちろん、リモートワークにも適したワークスペースにもなり、集中して作業することができます。

 

④ロフトをつくる。
3階建てにできない場合でも、2階の上部にロフトをつくって収納スペースにしたり、趣味の部屋として使うなど空間を有効活用することができます。また、お子さんが遊ぶスペースにすれば秘密基地のようにワクワクする空間にもなりますね!楽しみが広がるロフトは色々な使い方ができます。

 

⑤造作家具で収納力を上げる。
狭小住宅では、たくさん家具を置いてしまうとスペースが狭くなってしまい、快適に暮らせなくなってしまう可能性も。家のサイズに合う、必要な大きさの家具を必要な分だけオーダーメイドで造り付ければ、収納が足りなくなって家具を買い足すこともなくなり、生活スペースを確保できます。

 

⑥リビングが家の中心になるようにする。
リビングは、家の大きさに関係なく、家族全員がくつろいだりコミュニケーションをとるための大切な空間。狭小住宅は3階建てにすることも多いですが、その場合はリビングを真ん中の2階にすることで上下階からアクセスがしやすくなり、家族がスムーズに集まることのできる団らんの場となります。

 

⑦高い位置に付けるなど窓に工夫する。
狭小住宅の場合、隣接する住宅からの視線や陽当たりが悪くなることがデメリットとして考えられます。大開口やオープンリビングにしたり、窓の位置・形に配慮することで、日射しを十分に取り入れつつも外からの視線を感じることなく快適に生活することができるでしょう。

 

デッドスペースを活用しましょう

狭い空間で気持ちよく暮らすためには、設計やプラン上、利用する空間が難しいスペースをいかに有効活用できるかがポイントになります。家具を減らし、その分デッドスペースに収納棚などを作ることで空間を有効活用したり、階段下のデッドスペースであれば、開閉式のキャビネットにすることで空間を有効活用でき、見た目もスッキリとした印象になります。また、収納スペースに限らず、階段下にトイレを配置するように設計したり、デッドスペースに飾り棚を造り付けてインテリアとして楽しむことも可能です。

 

ビルトインガレージなど駐車場にも工夫を

コンパクトな土地に建てる家で駐車場を確保するためには「ビルトインガレージ/インナーガレージ」もおすすめです。
ビルトインガレージとは、建物の一部に車を格納するスペースをつくり、シャッターやドアなどを設置するガレージのこと。ビルトインガレージならば、愛車が雨や風にさらされることもなく、いたずらや盗難から守ることができます。車好きな方であれば壁面をガラス張りにして、玄関ホールやリビングから愛車が見えるようにすれば、インテリアの一部にもなりますね!
愛車のお手入れをする趣味の場としても楽しめます。このように建物の一部を駐車スペースにすることで、建物の外に駐車場を設ける必要がなくなり、狭い土地を有効活用できるのです。

また、ビルトインガレージの他に、「キャンティレバー構造」にする方法もあります。
キャンティレバー構造とは、1階より2階が大きい設計のこと。2階部分が張り出していて柱がないため、浮いているかのようにも見える構造をしています。張り出している部分が屋根になり、カーポートのような役割をしてくれるのです。車を停める以外にも、お子さんが遊ぶためのちょっとしたスペースにしたり、日曜大工に利用したりすることもできます。
キャンティレバー構造での空間があれば、天候に左右されることなく色々な用途で利用でき、見た目も個性的なデザイン住宅になることも魅力です。

3.狭小住宅の施工を価格だけで決めないこと

住宅会社はどこがいいの?

狭小住宅の実績が多い会社を選ぶ。
近年では狭小住宅の人気が高まり、狭小住宅を手掛けるハウスメーカーや工務店も増えていますが、その中でもなるべく狭小住宅に特化している実績のある会社を選ぶと心強いでしょう。そのようなビルダーであれば、狭い土地を上手く活用し、快適で過ごしやすい間取りにするための引き出しを数多く持っているため、理想的な一戸建てへと導いてくれるのではないでしょうか。

業者を少数に絞り、見積もりをとる。
狭小住宅を手掛けるさまざまなビルダーの中から候補を3社程度に絞り、見積もりを出してもらいましょう。そうすることでサービスの価格や質が見えてきますし、相場価格も知れるなどのメリットがあり優良業者を選びやすくなります。

価格だけで決めず総合的に判断を

相見積もりをとった上で住宅会社を決める際には、価格だけを見て判断するのはあまりおすすめできません。
わかりやすく項目分けされているかどうか、間違えや過不足な箇所はないかなど、内容をしっかりと確認することが重要です。家は一度建てたら簡単に建て替えることができないため、こちらの要望をきちんと聞いてくれているか、的確なアドバイスをしてくれるかなど、集めた情報をきちんと自分の目と耳で確かめ、業者の方との相性なども考えるなど、総合的に判断することをおすすめします。

4.「狭い土地に快適な一戸建てを建てるコツは?」のまとめ

狭小住宅は費用面や利便性の高い場所に建てることができるなどのメリットがある反面、狭さをはじめ、プライバシー性や陽当たりが悪くなりがちなどの問題点もあります。しかし、生活動線に配慮しながら限られた空間を有効活用すれば、暮らしやすく、おしゃれでデザイン性の高い理想的な家を建てることも可能になります。
コンパクトな敷地でも大満足の一戸建てを手に入れてくださいね!

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監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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