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住宅ローン審査にクレジットカードの使い方が影響する?|審査に落ちないための対策を解説!

夢のマイホームを手に入れるための住宅ローン、滞りなく審査をパスして早く安心したいという人も多いでしょう。住宅ローンの与信審査では、今までどのようにクレジットカードを使っていたかが1つのポイントです。今回は住宅ローンの審査を通過するためのクレジットカード対策を紹介していきます。

どんなクレジットカードの使い方が住宅ローンに影響するのか

普通にクレジットカードを利用している分には住宅ローンの審査へ影響がおよぶ心配はありません。では一体どのような使い方が審査時にチェックされる可能性が高いのか、まずは危険信号となるポイントを押さえておきましょう。

クレジットカードの支払いに滞納履歴がある

クレジットカードの支払いに遅延が生じると、信用情報機関のデータベースに記録が残ります。信用情報とは個人の借入や分割払いにおける支払い状況のデータであり、日本では「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」「株式会社日本信用情報機構(JICC)」「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」の3社が管理しているものです。各機関では加盟している企業・組織が異なるため登録される情報もまちまちですが、この3社では信用情報の共有を行っています。したがってどこかに登録された支払いの遅延や金融事故情報(長期延滞・債務整理など)は、実質的にすべての信用情報機関で利用されるのです。クレジットカードの返済が遅れると「支払い能力に問題がある」と見なされ、住宅ローンの審査でマイナスに働きます。住宅ローンは返済総額が高額な金融商品であるため、利用者の返済能力は重点的にチェックされるポイントです。

主な返済方法がリボ払いである

普段利用しているクレジットカードの返済方法をリボ払いに設定している場合も注意が必要です。リボ払いは利用総額に合わせて最低支払い額が設定されており、月々の返済負担が少ないという点がメリットとなります。しかしその一方で最低支払い額に占める元本の割合は低く、支払いが長期間におよぶ可能性が高いです。返済が長引くと支払う利息の金額がどんどん膨らんでいくため、結果的に負担が大きくなってしまいます。最長35年の長期返済が一般的となっている住宅ローンでは、クレジットカードに返済が長引きがちなリボ払いの残債が残っているとマイナスに働くケースが多いのです。

クレジットカードの所有枚数が多い

クレジットカードはそれぞれ特典やポイント制度が異なるため、使い分けるために複数枚所有しているという人も多いでしょう。しかし住宅ローンにおいてはクレジットカードの所有枚数が審査に影響する可能性もあるので留意してください。カード発行申請時の内容や設定にもよりますが、クレジットカードには一般的にキャッシング枠が設けられています。ショッピングローンとは異なりキャッシングでは現金を借りることが可能です。したがって実際に現金をキャッシングしてなくても、住宅ローンの審査時には借入額としてカウントされてしまう可能性が高いので注意しておきましょう。キャッシング枠付きのクレジットカードを何枚も所有していれば、その分住宅ローンの審査が不利になります。

住宅ローンの審査ではどんなポイントがチェックされている?

住宅ローンに限ったことではありませんが、ローン商品の審査における具体的な内容は公表されていません。しかし基本的なチェック項目はおおむね共通しているため、予めポイントを押さえておけば通過の可能性を上げることも出来るでしょう。住宅ローンの審査で重視されているのは、主に以下の2つです。

データベースの個人信用情報

ローン商品の審査では一般的に個人信用情報の照会によって金融事故の有無がチェックされます。金融事故とは「61日以上の長期延滞」「債務整理」「代位弁済」「強制解約」など、利用者の支払い能力に起因するトラブルのことです。ここでは「延滞や金融事故のデータが信用情報に残る期間」が重要になります。一般的に61日未満の支払い延滞は信用情報機関でデータが2年間保存されています。金融事故情報の場合は原則5年間、自己破産の情報がKSCに登録されるケースのみ10年間です。つまり金融事故を引き起こすと510年間は住宅ローンの審査に通過することが難しくなります。なお、クレジットカードの支払いが遅れると向こう2年間(延滞が61日未満の場合)は住宅ローンの審査に影響を及ぼす可能性があるので注意してください。

各種支払い情報

住宅ローンの審査において参照されるのは、金融事故の情報やクレジットカードの延滞履歴だけではありません。実際には電気・ガス・水道といったライフラインの利用料金やスマホ・インターネットの利用料金、さらには分割払いで購入したスマートフォンやウォーターサーバーなどの支払い状況までチェックされています。この点を見落としていると「金融事故もクレジットカードの延滞もないのに審査で落ちた」という結果になり兼ねません。普段から各種利用料金の支払いや分割払い商品の返済はしっかり行っておきましょう。

住宅ローンの審査を通過するために出来ること

住宅ローンの審査前に対策出来ることはある程度限られていますが、クレジットカードに関することは比較的素早く対応しやすいです。少しでも安心して住宅ローンを申請出来るように、以下のポイントについてはしっかり押さえておきましょう。

クレジットカードの所有枚数を2~3枚に整理する

何枚もクレジットカードを所有している場合は、ひとまず利用頻度の高いものを23枚選定して残りは完済の上解約しておくのがおすすめです。カードの所有枚数について大手クレジットカード会社であるJCB2020年に行ったアンケート調査では、上位3つの回答が「1(25)」「2(24.4)」「3(22.2)」となりました。アンケート全体を見て20%を超える回答が「3枚」までであることから、平均的なクレジットカードの所有枚数は23枚であると言えます。住宅ローンの審査でも平均的な数字であれば「所有枚数」が影響をおよぼす可能性は低いでしょう。

住宅ローンの審査中はクレジットカードを発行しない

住宅ローンの審査は「仮審査」と「本審査」の2段階に分かれています。仮審査は13日程度、本審査は早ければ1週間前後で結果が出ますが長い場合は3週間ほど待つことも珍しくありません。そしてこの期間中、新しくクレジットカードの発行を申請するのは避けておくのが無難です。クレジットカードの新規作成時にはキャッシング枠が付与される可能性が高く、住宅ローンの審査に影響をおよぼし兼ねません。借入額が増えるという意味では、他のローン商品を組んだり消費者金融からお金を借りるのもマイナス査定です。キャッシング枠なしでクレジットカードを発行出来る場合もありますが、住宅ローンの審査中には申し込まないようにしておきましょう。

分割払いやリボ払いの残債があれば完済しておく

クレジットカードの分割払い・リボ払いの残債は、借入と同じく住宅ローンの審査においては基本的にマイナス要素です。したがって住宅ローンの申し込み前に完済しておけば、審査が有利になる可能性があります。基本的に分割払いもリボ払いも、カード会社に問い合わせれば一括で全額を支払うことが出来るケースが多いです。住宅ローンの審査対策で一番手っ取り早く出来る取り組みなので、手元のお金に余裕があればクレジットカードの残債を0にしておくのが安心と言えます。


住宅ローンの申請を機にクレジットカードを整理して、審査通過の可能性を高めよう


住宅ローンの審査ではクレジットカードをはじめ、様々な支払い状況や個人信用情報が調査されます。過去の積み重ねであるため対策出来ることは限られますが、クレジットカードについては残債や所有枚数の整理など「すぐに出来ること」も多いです。夢のマイホームを手に入れるこの機会に、手持ちのクレジットカードを見直してみてください。

監修 大森 英則氏

FP相談室/ファイナンシャルプランナー

主に個人のお客様のお金にまつわる様々なご相談(教育費・住宅費・老後費用など)を承り、お客様の紹介を中心に活動させていただいてます。具体的な事例を交えたわかりやすいご案内が特徴で、企業様や市町村にてセミナーを実施。また同業の営業の方の研修も行っています。金融資格だけでなく、ピンクリボンアドバイザー、認知症介助士、住宅ローンアドバイザーなどの資格を持つ異色のファイナンシャルプランナーです。

https://oshiete.chunichi.co.jp/owari/pro/82/

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