家づくり

家の建て替え|流れや知っておきたいポイントなどを解説!

建て替えは古い家の解体と新築をまとめて行うため、更地に家を建てるよりも期間も費用もかかりますし、再建築する際には条件も発生します。今回は、建て替えの定義や施工前に確認しておきたいポイント、建て替えの流れや費用などについてご紹介していきます。

家の建て替え時のポイント

そもそも、「建て替え」というのはどのような工事をいうのでしょうか。建て替えの定義と建て替えをする際に確認しておきたいポイントを見ていきましょう。

建て替えの定義

建て替えとは、既存の建物がある土地において、基礎部分からその建物をすべて取り壊して更地にした上で、その土地に新たに建物を建てることを言います。リフォームと混同されがちですが、リフォームの場合は基礎部分を含めて既存の建物で使える部分を残しながら増改築をしますので、新築物件にはなりません。その代わりに、建て替えに比べて建築の条件が緩やかになっています。

まず建て替えが可能か否か

建て替えの場合、既存住宅を建築したときから現在までに建築基準法の改正が行われていれば、建て替えができない再建築不可物件に該当する恐れがあります。以前は建築ができていた土地でも、災害時の避難経路の確保や延焼防止の観点などから、新築が認められないというケースは少なくありません。
具体的には、自分が所有している敷地が2m以上道路に接している必要があります。さらに、接している道路は道幅4m以上でなければなりませんし、仮にこれらの条件を満たしていても、道路から路地に入って建物のある敷地に至る旗竿地の場合には、路地部分の長さに制限がかけられることもあります。

まずは建て替えをする地域の条例も含めて、建て替えが可能な土地なのかを確認しましょう。

予算や期間の確認

建て替えでは、取り壊しと新築を続けて行うので予算も期間も負担が大きくなりがちです。家の購入は金額が大きいので金銭感覚が麻痺しやすく、予想外の出費やオプションの追加などで気が付けば予定よりも大幅に支払額が増えていたというケースも少なくありません。また、建て替えでは設計や登記、住宅ローンの手続きなど様々な出費が発生します。取りこぼしのないように、建て替えに要する費用は何があるかを確認し、予算オーバーにならないように注意しましょう。
なお、今住んでいる場所で建て替えをする場合には、仮住まいや家財道具の保管場所を探さなければなりません。通勤や通学の利便性、入居可能期間などを確認した上で契約する必要がありますので、工期についても調べておきましょう。一般的には、取り壊しから新居の完成まで半年~8カ月ほどかかりますので、短期間の利用が可能な場所を探しておきます。また、この期間の家賃や引っ越し費用も予算に計上しておきましょう。

家の建て替え時の流れ

家の建て替えをする際、作業の進み具合に応じて引っ越しや手続きをしなければなりません。以下に、おおよその建て替えの流れについて見ていきましょう。

ステップは何かと多い

建て替えは作業のステップが多く、自分で進める手続きも複雑です。まず、建て替えを依頼するハウスメーカーや工務店をピックアップして、見積もりや間取りのプランを出してもらいます。複数の業者を比較して、自分の好みや予算に合うところを絞り込みましょう。
並行して住宅ローンの事前審査を申し込み、融資が見込める状況になったら住宅ローンの契約と工事請負契約を進めていきます。

次に、仮住まいを探します。短期間で借りられて通勤や通学がしやすい立地、ペットや駐車場などの条件が合っているところ、家具類を置く場所など、候補がかなり絞られていきますので、早めに探しておいた方が安心です。
解体工事開始日が決まったら、早めに近隣への挨拶と仮住まいへの引っ越しを行います。ガスや電気など、工事に不要なライフラインは事前に止めておきましょう。
仮住まいに住んでいる間に、解体と新居の建築が進められます。地鎮祭や上棟式を行う場合には、業者とスケジュールを確認して神主さんやお供え物の手配をしておきましょう。
工事が終わると、引き渡し、引っ越しという流れになります。引き渡し当日は住宅ローンの手続きや登記手続きを行いますので、何かあればすぐに動けるようにスケジュールを空けておきましょう。鍵を受け取って引っ越しを済ませたら完了です。

建て替え時に必要な費用

では、建て替えの際にはどのような費用が発生するのでしょうか。建物の大きさや種類、施工内容によってその金額はかなりの開きが見られますが、ここでは代表的な費用の項目とおおよその目安を見ていきましょう。

解体・本体工事などの費用

建て替えをするには解体費用がかかりますが、これは建物の構造や大きさによって異なります。一般的には、木造ならば坪単価25万円、鉄骨造りで46万円、鉄筋コンクリート造ならば58万円です。ただし、立地によっては機械が使えずに手作業になるため坪単価が高くなったり、付随工事が発生したりすることもあります。複数の業者に現地を確認してもらって相見積もりを取ると良いでしょう。一方、建築工事費はどのような家を建てるかによってかなりの幅があります。一般的には15003500万円を予定しているケースが多いですが、家族構成や敷地面積によって異なりますので、世帯収入や家計から無理のない金額を決めましょう。また、予算には限りがありますから、優先したいところと妥協するところを決めることも大切です。

仮住まいの費用

取り壊し予定の家に住んでいる場合には、建て替えが終わるまでの間、仮住まいに移る必要があります。通常、工期は1年未満ですので、短期間の居住が可能な場所を探さなければなりません。また、家財道具が仮住まいに入りきらないときは、トランクルームなどの利用も検討しましょう。
条件によりますが、敷金や礼金、家賃、引っ越し費用などを含めて、50100万円程度かかると考えられます。

登記などの諸費用

家を建てるときにはハウスメーカーに支払う金額だけでなく、登記や住宅ローンの手続きなどの費用も必要です。登記では、建物滅失登記と建物表題登記を土地家屋調査士に。司法書士には所有権保存登記を依頼します。また、住宅ローンを利用した場合は設定登記も必要です。
税金関係では、登記の際に発生する登録免許税の他、工事請負契約書に貼る印紙税、不動産取得税が購入年度に発生します。翌年以降はこれらの税金はかかりませんが、固定資産税と都市計画税を毎年納付しなければなりません。

住宅ローンを利用する場合は、金融機関に事務手数料や保証料、契約書に貼る印紙税などを払う必要があります。また、借入額に応じた利息分も返済していかなければなりません。そして、住宅ローンの担保になっている建物は、火災保険を付けることになっています。この保険料も費用として計上しておきましょう。
場合によっては他にも発生する費用があります。例えば、地鎮祭や上棟式を行う場合は神主さんやお坊さんに支払う謝礼やお供え物、棟上げ式の飲食代などが必要です。
また、照明器具や窓、ドア、壁紙などをアップグレードすれば追加費用が発生しますし、家具やカーテン、家電などを家に合わせて購入するときも予算を立てておく必要があります。


目安となる費用

木造で40坪程度の家を取り壊して、3000万円の家を建てる場合には、解体費用も含めた工事費が3200万円程度になります。仮住まい費用が100万円、登記費用や事務手数料等が150万円、不動産取得税が50万円程度とした場合、トータルの費用の目安は3500万円です。これに買い替える家具や家電、不要になった家具等の処分費用などもかかると考えておきましょう。 

建て替えをするなら確認や準備を入念に

このように、更地への新築やリフォームと比べて、建て替えでは確認しておくことや準備しておくことが増えがちです。しかし、住み慣れた場所で生活を続けられる、土地の購入費用を抑えることができるなど、建て替えならではのメリットもありますので、一概にどの方法が良いとは言えません。建て替えを行う場合は、希望通りの家を建てられるか、予算や期間が予定の範囲に抑えられるのかなどをきちんと確認してから準備を勧めましょう。

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監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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