家づくり

宅地・売地・分譲地|土地探しの効率的な進め方|コツや土地選びの注意点などのポイントを紹介します!

家を建てるために必要な土地。土地探しの「コツ 効率」を意識した情報を紹介します。まずは、宅地・売地・分譲地などの用語を理解することから始め、後悔しない土地選びについて考えていきましょう。

1.理想的な土地を購入するために

住みたい家を実現するための第一歩は土地探しから、という方も多いでしょう。土地探しは、長く住み続ける家を建てるベースとなるためポイントを押さえて探すことが重要です。

土地探しへの考え方~宅地・分譲地・売地の違い~

住宅用の土地を検討している方は、不動産に関する基本的な用語を理解しておくと効率よく土地探しができます。不動産情報でよく登場する、宅地・分譲地・売地の違いを理解して土地選びに生かしましょう。

まず「宅地」は、建物を建てるための土地のことです。住宅を建てられる土地といっても、整地されて建物をすぐにでも建てられる更地の場合もあれば、建物が残っている土地も含まれます。
また、宅地には「建築条件付き土地」もあります。これは、決められた施工会社を通して家を建てることが条件になっている土地です。建築会社を自由に選びたい方は注意が必要ですので、建築条件の有無はしっかり確認しましょう。

「分譲地」は、不動産会社やハウスメーカー、工務店などが、あらかじめ土地を購入していて、それを住宅用の土地として販売している土地です。ある程度の広さの土地を一括して購入して区画整理や整地を行っているため、価格を抑えて土地を購入できるメリットがあります。また、電気・ガス・水道といったインフラの整備や、近隣に商業施設や公園があるなど環境整備がされている場合もあり住み始めてから暮らしやすさを実感する人も多いようです。
一方で、土地の広さや形状に制限があったり、ある程度の戸数を確保できる土地での開発となるため、交通の利便性が追い付いていない場合があります。

「売地」は、販売されている土地すべてを指します。一般に販売されていますが、必ずしも住宅が建てられる土地ばかりではありません。住宅用に販売されている売地であれば、建築条件について記載があるはずです。
「建築条件なし」と書かれている売地は、住宅用の土地として購入できます。
「建築条件付き売地」は、売主が指定している建築会社などで建てることが条件となる住宅用土地を指します。

自分の理想の土地環境と条件を書き出してみましょう

土地探しをする際に大事なのが、自分がその場所に求めるもの、理想の条件をはっきりさせておくことです。
住む場所に求める条件は一人一人異なります。例えば、仕事を重視して土地探しをする人であれば、通勤に便利、テレワークがしやすいなどが条件に挙げられるでしょうし、リタイア後の暮らしを充実させたい人なら、ガーデニングなどの趣味を楽しめる日当たりの良い場所、将来の生活を考えて平屋を建てられる広さの土地を希望する人もあるでしょう。
まずは土地や環境に関する条件をすべて書き出してみると良いかもしれません。その中で、絶対に外したくない条件を3つほど選び、その他の条件も優先順位をつけておくと“ぶれない土地探し”の下準備ができるのではないでしょうか。

土地の価格や情報、自分の理想の家が建てられるか確認しましょう

土地探しに必要な基礎知識を身につけ、自分が求める土地や環境の条件を決めたら、実際に販売されている土地の価格や付帯情報を見ます。理想的な土地でも、価格があまりにも高いと家を建てる予算が削られてしまいます。土地自体は申し分なくても住環境があまり好ましくないと満足度が下がってしまうので価格のバランスは大事です。

土地に関する情報にも注目します。土地の情報には、建ぺい率や容積率などが記載されているはずです。これらは、敷地内にどれくらいの家が建てられるかを示しているので、理想の家が建てられるかどうかを見極めるポイントとなります。
地盤や土地の形状、高低差などの情報も重要です。地盤が軟弱だと、家を建てる前の改良工事が必要となり、建築コストが上昇することも。川の近くや低地、山間の土地は、災害に見舞われやすくなる懸念もあるため慎重に検討するとよいでしょう。また、同じ面積でも土地の形がいびつな場合、家の大きさが制限されることがありますし、高低差がある場所に家を建てると、日当たりが悪くなったり、外から家の中が見えやすいなどの心配もあります。

古くからある街並みの土地を購入する場合は、建築基準法にある「接道義務」を頭に入れておきましょう。
接道義務とは、土地が前面にある道路と2メートル以上接している必要があるというもので、火災などの際に避難経路を確保する意味合いで制定された法律です。
特に、道路に接していない袋地や、路地の奥にある土地の旗竿地は、接道義務を考慮した対策をとらないと建物を建てられないことがあるので注意が必要です。

どのように土地を探しているの?

大切な土地探しで失敗しないために、一般的な土地探しの方法と、おすすめの探し方のコツをご紹介します。

土地購入で後悔しないために

すでに土地を購入した人の失敗例を知っておくと参考になるでしょう。土地購入で多い失敗例は、予算オーバーです。これは、土地の価格だけを見て、そのほかにかかる諸経費を考慮せずに購入したことがほとんどのようです。
土地購入時には、不動産取得税や登録免許税、印紙代、仲介手数料、司法書士費用などの諸経費がかかり、平均的に土地代金の5パーセントほどになるといわれています。
また、土地の状態によっては、土地にある上物の解体費用や地盤改良費、インフラ整備費などがかかる場合があります。それらを想定し、確認してから購入を検討するとよいでしょう。

別の失敗例としては、利便性が挙げられます。最寄り駅までの距離は条件に合っていたものの、通勤・通学時の支障となる開かずの踏切があった、車の通りが激しく危険を感じる場所があるなどです。
さらに、住環境や相場、土地の詳細の確認が足りなかったために、土地の形状で希望通りの家を建築できなかったケースや、資産価値が下がる土地を購入してしまうケースなどもあります。
理想のマイホームに大きく影響する土地探しですから、確認に次ぐ確認が大事、といえます。

一般的な探し方

土地探しというと、不動産屋さんに相談するのが主流でしたが、最近では、インターネットで土地探しをする人も多くなっています。大手不動産情報サイトを見ると、文字情報だけでなく、写真や地図なども掲載されています。また、地図アプリなどを併用すると、周囲の状況も見ることができるので多角的な情報が得られます。
土地探しに時間を割けない方や遠方に住んでいる方はネットで効率よく候補地を探してはいかがでしょうか。

おすすめの探し方のコツ

土地を含む不動産情報はネットで探すこともできますが、土地探しに慣れていないと、自分にとって都合の良い情報だけを鵜呑みにしたり、注意すべき情報を見落とすことがあります。可能であれば、信頼できる専門家に土地探しの相談をするとよいでしょう。例えば、すでに建てたいハウスメーカーを決めている、デザインをお願いする設計事務所や工務店が決まっているという場合は、依頼予定の住宅会社や工務店などに相談してみてください。
土地購入から住宅建築までトータルで考えたアドバイスをしてくれますし、土地探しや候補地選びをサポートしてくれることも。また、地元情報に詳しい不動産会社に土地探しの相談するのもよい方法です。

専門家に土地探しの相談をする場合もそうでない場合も、住みたいエリアは事前に決めておきましょう。さらに、予算や条件などを曖昧にせず、具体的に説明できるようにしておくことが成功のカギです。
提示された情報は、図面などを積極的に見るなどして必ず確認し、わからない点は納得いくまで質問して疑問点を残さないようにします。

2.「土地探し」こんなところに注意を

理想の土地は待ちの姿勢では得られません。積極的に情報を得ることに加え、見極めポイントをどれだけ持っているかがカギになります。ここでは「用途地域」をキーワードに考えます。また、自分の目で見て判断することの重要性も考慮しましょう。

用途地域を確認しましょう

用途地域とは、都市計画法に定められた、建てられる建物や種類、大きさなどを制限するエリア区分で全13種類あります。そのうち、住宅系の用途地域は8つに分けられています。

住宅系の用途地域の一つである「第一種低層住居専用地域」は、低層住宅に係る良好な住居環境を保護するための地域となっており、主に2階程度までの低層住宅が立ち並ぶ住宅街になります。
教育施設や図書館などの小規模な公共施設はありますが、商業施設は建てられません。静かで穏やかな環境で生活したいと願う人に向いているエリアといえます。これが「第二種低層住居専用地域」になると、高さ制限などは前述の用途地域と同様ですが、小さい規模のコンビニや飲食店などは建築可能です。同じ低層住宅専用地であっても周囲の環境は異なってくるでしょう。

さらに「第一種中高層住居専用地域」となると、3階以上のマンションや中規模の公共施設や病院、大学なども建てることができます。そして「第二種中高層住居専用地域」では、小規模なスーパーや大きめの店舗なども建てられます。
このような地域では、生活の利便性がアップする可能性もありますが、周囲に背の高いマンションが建って日当たりが悪くなってしいまったり交通量が増えることも予想されます。
今だけでなく将来を見据え、望む暮らしを考えた用途地域選びが重要です。

土地は必ず現地に行って自分の目で確認しましょう~周辺環境や区画位置確認など~

土地購入の決定前に、必ずその場所を実際に訪れ、自分の目で確認することが大切です。
ネットや不動産業者の話だけでは把握しきれない、現地でしか体感できない情報を中心に、周囲の環境や購入を考えている土地の状況を確認しましょう。
周辺環境は、昼と夜では雰囲気が大きく異なることがあるため、曜日や時間帯を変えて複数回訪れてみます。購入を検討している区画位置を確認し、日当たりや交通量、周囲の住民の年齢層などを見て、住んだ時のイメージを膨らませて考えるとよいでしょう。

3.土地探しについてのまとめ

土地探しでは、売地・分譲地・宅地といった不動産情報を理解するための基礎知識に加え、住む場所や住宅に求める条件を明確にし、優先順位をつけておくことが大事です。
よくある失敗例などを参考に、ネットだけでなく専門家のアドバイスを得つつ、自分の目で確認する姿勢が大切です。土地を購入してからの住環境の変化を考え、用途地域の確認も忘れないようにしましょう。

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監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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