- TOP
- こんなこと知りたかった!「暮らしと家づくり」コラム
- “家族全員の快適温度”はどうつくる?暖房効率と間取りの工夫
暮らし
“家族全員の快適温度”はどうつくる?暖房効率と間取りの工夫
「リビングは暖かいのに、隣のダイニングが寒い…」
「2階に上がると寒くて眠れない」「私だけ寒がりで冷えやすい」
冬になると、家の中の温度差に悩む家庭は少なくありません。
人によって快適な温度の感じ方も異なるので、よくある問題の1つです。
家の中で温度差が生まれる原因には、間取りや住宅構造によって暖房効率が大きく左右されます。
家族全員が快適に暮らすためには、季節問わず快適に過ごせる住まいの工夫が必要です。
今回は、家の中で温度差が生じる理由、暖房効率アップの工夫についてご紹介します。
目次
家の中で温度差が生じる理由
同じ家の中なのに部屋ごとに温度が違うのは、単に暖房の強さが足りないという理由だけではありません。住まい空間の快適さを左右する「見えない部分」が、温度環境に大きく関わっています。そのため、暖房効率に影響を与えるポイントを知ることで、的確な対策が取れるようになります。
窓から伝わる外気
実は、家の中で最も温かい空気が逃げやすい場所が「窓」です。冬の場合、せっかく温めた室内の空気も窓から流れてしまうとされています。単板ガラスやアルミサッシのままだと外気の影響を受けやすく、暖房をつけても足元がひんやり寒いままです。特に、北側にある部屋や日が入りにくい暗い部屋では、窓から冷気が伝わりやすく、温度差が生まれる原因になります。
壁や床から伝わる外気
窓以外にも、壁・床・天井も外気の影響を完全に遮断できるわけではありません。断熱材が不十分なケースや、床下からの冷気が上がりやすい構造の場合、壁際が冷たく感じる、床の冷えが厳しいといった現象が起こりやすくなります。昔ながらの住宅では、壁・床・天井から外気の影響を受けやすく、冬場に底冷えする悩みが多く見られます。
断熱性能の弱さ
断熱材のグレードや施工の不十分さによる、「断熱性能の弱さ」も温度差を生む原因です。また、家全体の気密性が低い状態だと、せっかく温めた空気も外に熱が逃げていきます。「2階が暑く1階が寒い」「廊下やトイレが極端に寒い」というケースは、断熱性能の弱さを表す代表例です。
家具の配置や暖房器具の使い方
暖房効率には関係ないと思われがちなのが「家具の配置」。エアコンやヒーターなどの暖房器具の前に、背の高い家具は暖房効率を下げる原因です。また、窓際のカーテンがない、または薄いカーテンの場合は窓からの冷気を遮断できません。室内の形状によって、エアコンの設置位置が間違っていると、温かい空気が全体に広がりにくくなります。例えば、長方形のリビングにエアコンを設置する場合は、短辺側に設置して空間を先に見渡せるようにするのが理想です。
暖房効率を上げる間取りの工夫
間取りの工夫によって、住まいの温度環境が大きく左右されます。間取りのポイントに気を付けることで、“暖房が効きやすい家”へと近づけることが可能です。
温かい日差しを取り込む工夫
冬の暖かさをつくるのは、暖房器具だけではありません。南側から入る太陽の自然光は、とても大きな温暖効果があります。そのため南向きの家というのが人気のある要因の1つです。
間取りのポイントは以下の3つ。
・冬に日差しが入りやすい南向きの温かい日差しを取り込む
・夏は日差しを遮り、冬はしっかり日差しを取り込むように軒の長さを調整
・リビングなど長く過ごす場所は南面へ配置した間取り
このような間取りの工夫で、自然の力を最大限に活用できます。
窓の位置
窓の位置は、採光や風通しだけでなく、温度環境にも影響を及ぼします。快適な住まい空間が作れない窓は、以下のようなケースです。
・北側に大きな窓がある、または窓が多い
・西日が強い場所に窓を設置する
・風の通り道を考えていない
適切な窓の位置・高さ・大きさにすることで、寒さの原因を減らして、暖房効率アップに変えられます。
部屋の形状
部屋の形が複雑だったり、天井が高すぎたりすると、暖かい空気が行き渡らないことや、暖気が上へ逃げてしまうことが多くなります。部屋の形状はシンプルなタイプが、均一に空間を温めやすいです。
間取りを検討する上で以下のようなケースには、注意しなくてはいけません。
・開放感のある吹き抜け
・廊下が長い
・仕切りの多い間取り
空気の循環が悪くなり、温度差につながる代表的なケースです。暖かい空気は上にたまり、冷たい空気は下に溜まります。特に吹き抜けや天井が高い部屋は、シーリングファンを設置すると、空気を循環させて天井付近の暖かい空気を足元まで届ける対策が必要です。
空調設備に合わせた空間
近年の住宅設備は、家全体を一定温度に保つ全館空調や床暖房などが普及しています。しかし、住宅設備の効果を最大限に発揮するためには、設備に合わせた間取り設計が必要です。
・全館空調は気密性の高い家で効果を発揮
・仕切りを少なくして全体に熱が行き渡るように間取りを工夫する
このようなポイントを意識すると、空調設備のメリットを活かせます。
暖房効率を上げる住宅構造
暖房効率を上げるには、間取りだけではカバーできない部分もあります。住宅構造にもこだわることで、冬も夏もより快適な家づくりが可能です。
断熱材の活用
前述にも出てきましたが、壁・天井・床などの断熱材は、家の温度を外気から守る最も基本的な構造です。断熱材は一部分だけを強くしても、あまり意味がありません。家を断熱材で包み込むようにすることで、家全体まるごと快適な空間が作れます。断熱材にも品質があり、熱伝導率が低く、厚みがあるものはグレードが高いです。また、素人では完璧に施工するのは難しく、隙間なく均一に施工するプロの技術が必要になります。
窓や玄関ドアも断熱仕様に
外気の影響を受けやすい窓や玄関ドアの断熱性能も重要です。1枚の単層ガラスよりも、間に空気層ができる複層ガラス(Low-Eガラス)の方が、外気が室内に伝わりづらくなり窓の断熱性を高めることができます。さらに効果を増すために、より層を厚くしたトリプルガラスも効果的です。また、窓はガラスだけでなく、合わせてサッシも断熱仕様にする必要があります。通常はアルミサッシですが、複層サッシや樹脂サッシにすることで、より断熱性の高い仕様が実現できます。
そして、玄関ドアは内部に断熱材が入っているものや、玄関枠に断熱機能を付加したものが、十分な断熱性能を発揮してくれます。断熱性能の高い家づくりは、「窓」と「玄関ドア」の両方がとても重要です。
気密性の高い家づくり
気密性とは、建物の隙間をできる限りなくして、熱が外に逃げずに外気が室内に入ってこないようにする性能です。高品質な断熱材や窓断熱にしたとしても、気密性が悪ければ隙間から空気が出入りする家だと効果は激減します。気密性が高ければ暖房効率だけでなく、花粉やホコリの侵入を防ぐことが可能です。気密性のメリットを活かすためにも、間取りの工夫や断熱性能などを、しっかり整えることが大きなポイントになります。
監修 野村 綾乃氏
株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役
大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。



