家づくり

子どもがのびのび育つ家づくり

子どもの成長には、住まいの環境が大きく影響します。
家の広さといった空間的な要素だけでなく、安全性や、心と体が健やかに育つための工夫も含めてバランスよく考えることが大切です。
家の中の環境は、今だけでなく将来的な子どもの成長も見据えて設計することが求められます。
もちろん、後からリフォームをすることも可能ですが、大きな費用や手間がかかる場合があります。
だからこそ、なるべく初期段階から「子どもがのびのび育つ家づくり」ができていると、長く安心して暮らすことができるでしょう。
今回は、子どもがのびのび育つ家づくりのポイント、参考となる実例や注意点をご紹介します。

子どもが育つ家づくり3つのポイント

子どもがのびのびと成長できる家づくりのために、意識したいポイントが3つあります。

1.  間取り

2.  遊び心

3.  熱中できる環境

子どもが成長する過程をイメージしながら、それぞれのポイントをバランスよく取り入れた家づくりが大切です。これら3つの項目ごとに解説します。

間取り

子どもがのびのびと育つ環境には、家族とのコミュニケーションが欠かせません。成長の過程で、家族はもちろん人と接する中で価値観や多様性が身についていきます。反対に、家族とのコミュニケーションが少ない環境で育ってしまうと、子どもの可能性を狭めてしまう懸念もあります。大人になってからの価値観や家族像は、小さい頃の実生活と深く繋がってくるものです。そのため、家族とふれあう機会を生みやすい間取りや、顔を合わせやすい生活動線を考えて設計することがポイントです。また、子どもは予測できない行動をとることもあるため、安全性に配慮した空間づくりも忘れずに意識しましょう。

遊び心

家の中に、子ども目線での「遊び心」があると、想像力や感性を育むきっかけになります。子どもの遊びは、単なる娯楽ではなく、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感の成長に欠かせない大切な要素。たとえば、絵を描くことやブロックを積み上げるといったシンプルな遊びでも、想像力や感性によってその表現は無限に広がります。自由に動き回れる遊びの空間があるだけでも十分ですが、家の中にちょっとした「遊び心のある工夫」があることで、子どもが家で過ごす時間をより楽しく感じられるようになるでしょう。

熱中できる環境

子どもにとって家族とのコミュニケーションはとても大切ですが、成長とともに一人で集中できる環境も求められるようになります。子どもの感覚は鋭く、物事を吸収するスピードもとても早いもの。自立心を育てるうえでも、勉強や興味のあることに好奇心を持って没頭できる環境があると良いでしょう。「熱中できる環境」は、子どもの将来の学びや自己表現の土台となる重要な要素です。

子どもがのびのび育つ家の実例

子どもがのびのび育つための家づくりには、さまざまなパターンがあります。「ポイントは理解できたけれど、実際にどのような家にしたら良いのかわからない」そんなときは、実際の家づくりの実例を参考にしてみましょう。自分たちの暮らしに合う間取りやアイデアをイメージしながら、家づくりを具体的に進めてみてください。

リビングで勉強できる環境

リビングに勉強できるスペースがあると、家族もそばでサポートしやすく、子どもも勉強の仕方がわかるようになります。必ずしも広いスペースが必要というわけではありません。リビングの一角にカウンターを設け、机とイス、本などが整理して置ける環境があれば十分です。家族の気配を感じる空間で勉強することで、集中力や学ぶ姿勢を育みやすくなります。

バルコニーと繋がるLDK

リビング・ダイニング・キッチンがひと続きになったオープン空間は、子どもが勉強や遊んでいても目が届きやすく、家族のつながりを感じやすい間取りになります。さらに、バルコニーやテラス、庭までをワンフロアで繋げた設計にすると、室内にいながらも自然の光や風を感じられる、心地よい住まいになります。現代の子どもはゲームやSNSなどインドアな遊びが中心になりがちですが、こうした外の空気を感じられる空間は、のびのびと健康的な発想や思考へ意識を促しやすいでしょう。

家族とふれあえる場所づくり

朝食や夕食など、家族が顔を合わせる時間は1日の中でも限られています。だからこそ、家族が一緒に作業できる場所があると、子どもとの会話やふれあいが自然に生まれるきっかけになります。子どもが家事を手伝いやすくすることも、家族の会話や協力の習慣を育みやすくなるでしょう。

感性を表現できる内装

子どもは日々の暮らしの中で、感性や発想力を育んでいきます。その発想は、大人でも想像できないような独創的なものも多く、住まいの工夫次第で、家の中にも感性を伸ばせる環境づくりが可能です。たとえば、思いっきり壁に絵を描ける黒板クロスや、自分の作品を並べられるギャラリースペースがあると、子どもが楽しく自己表現することができます。作品づくりを通して自信や達成感が生まれ、子どもの「好き」や「得意」といった個性を見つける原点になるかもしれません。机に向かう学習空間だけでなく、子どもの自由な発想や感性をカタチにできる場所を用意してあげることも大切です。

コミュニケーションがとれる子ども部屋への動線

子どもは成長とともに、プライベートな空間も必要になります。自立心を育むうえでも子ども部屋は重要ですが、「家の中でどこに配置するか」「どんな動線で繋げるか」は気を付けたいポイントです。玄関から直接子ども部屋に行けてしまう間取りでは、家族とのコミュニケーションが減り、顔を合わせる機会が少なくなる可能性があります。リビングやキッチンなど家族が集まる空間を通ってから子ども部屋に行く動線にすることで、自然と子どもの様子に目が届くようになります。子ども部屋の良い活用ができるように、間取りや動線に配慮しましょう。

明るい住空間

日が当たりにくい暗い部屋では、子どもの気分や思考も沈みがちになりやすく、活発さに影響を与えることもあります。窓の位置やサイズを工夫し、自然光の入る明るい家づくりを行うことで気持ちも明るくなり心地よさを感じられます。また、自然光が入ると住宅に使われた木材の質感が引き立ち、観葉植物も健康的に育ちやすくなります。室内にいても自然を感じられることは、子どもに限らず大人にも豊かな環境となります。

子ども中心の家づくりで気を付けるべき注意点

子どもを中心に考えた家づくりは、あまりに偏った設計や環境をつくってしまうと、将来的に使いづらい住まいになってしまう可能性があります。子どもは成長とともに生活スタイルや価値観が大きく変化するため、そうした変化に柔軟に対応できる設計を想定しておくことが大切です。子どものための家づくりで、気を付けておきたい注意点を解説します。

将来的な子ども部屋の活用法

子ども部屋を遊びスペースとして活用できていても、成長とともに遊び方や使い方は変わっていきます。また、進学や就職のタイミングで家を出て一人暮らしを始める場合もありますが、子ども部屋が使われなくなり「空き部屋」になってしまうことを勿体なく感じる人も多いもの。無駄なスペースとならないよう、あらかじめ、将来的な活用パターンを想定しておくと安心です。たとえば、仕切りを動かせる可変性のある間取りや、リフォームしやすい設計にしておくことで、ライフステージの変化に合わせて無理なく活用できるでしょう。

子どものプライバシーも尊重

小学生くらいになると、子どもは少しずつ自分の時間や空間、プライバシーの感覚を持ち始めます。とはいえ、「まだ子ども部屋は早いのでは?」と迷うケースも少なくありません。一人の人間としてプライバシーを尊重することは、将来的な自立心の育成にも繋がる大切な要素です。親が見守れる環境を意識しつつも、自由を与えることとのバランスが取れると良いでしょう。

のびのび育つ環境は親がさりげなく作る

子どもが自発的に学び、興味を持ち、考える習慣を育てられるような住まい環境は、親がさりげなく用意してあげたいものです。たとえば、ダイニングの近くに勉強スペースをつくる、家族が集まるリビングに本棚や作品を飾るギャラリーを設ける、家事に参加しやすいキッチンの配置にするなど、子どもが日常的にいろいろなことに関心や興味を持てるようなきっかけづくりを家の中に組み込めると良さそうです。こうした住まい環境は、子どもの感性や好奇心を自然に引き出してくれるでしょう。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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