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家づくり
SDGsを意識したエコ住宅の魅力とは?
マイホームを検討していると、「エコ住宅」という言葉をよく目にしますが、「エコ住宅ってどんな家なの?」と疑問を感じている人もいらっしゃるでしよう。
TVのニュースなどでも「SDGs」が話題になっていますが、エコ住宅とどのように関係があるのか一般的には深く浸透していないのではないでしょうか。
今回ご紹介するSDGsを意識したエコ住宅は、快適性や環境問題だけでなく、経済的なメリットも大きいです。
補助金・減税制度など国も力を入れているエコ住宅なので、特徴やポイントをわかりやすくご紹介します。
目次
SDGsのエコ住宅とは
「SDGsって何?」「エコ住宅って何?」という基本から解説します。SDGsとは、2030年までに達成すべき国際目標で、17の目標が掲げられています。SDGsの目標項目の中でも、特にエネルギーや環境問題、気候変動、街づくりなどが、エコ住宅に関連するポイントです。CO2排出の削減や森林を守る取り組みは、1件の家だけでは変わりませんが、SDGsを意識したエコ住宅が増えていくことで実現できる目標になります。マイホームを建てるときに、室内だけでなく、家の外まで住む環境を考えることまでが大切な家づくりです。
SDGsを実現するエコ住宅の種類4つ
SDGsを実現するためのエコ住宅は、エネルギーや光熱費の負担を軽減するものが代表的です。エコ住宅には大きく4つの種類があり、特徴や目的も異なります。エコを推進する家づくりは以下のような段階になっており、一般住宅からLCCM住宅に進むほどエコレベルの高い住宅仕様となります。
・一般住宅
・長期優良住宅
・認定低炭素住宅
・ZEH住宅
・LCCM住宅
それぞれのエコ住宅について解説します。
長期優良住宅
長期優良住宅は、国が定めた優良認定制度の基準をクリアしたもので、耐震性や省エネ、バリアフリーが備わっている住宅です。認定基準には7つの項目が挙げられています。
1.耐震性
2.耐久性能
3.維持管理のしやすさ
4.住戸面積
5.省エネ
6.居住環境
7.維持保全計画
認定基準は、長く住み続けるために欠かせない要素となっています。
認定低炭素住宅
ここでの炭素はCO2(二酸化炭素)を指しており、CO2の排出が増えると地球温暖化に繋がってしまいます。SDGsでも地球温暖化は重要な項目に挙げられており、低炭素住宅として認定されるには、以下の項目が基準です。
・冷暖房効率を上げる断熱性
・省エネ給湯器
・断熱サッシ
・太陽光発電
・LED照明
これらの基準をクリアしているかどうかを都道府県や自治体が判断します。
ZEH住宅
ZEH住宅は「ゼッチ住宅」と呼ばれる、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを略したもの。省エネだけでなく、太陽光発電などエネルギーをつくり出せる住宅設備があるものをZEH住宅としています。エネルギーがつくり出せることでSDGsに役立つことはもちろん、光熱費を軽減できることは家計にとってプラス材料です。発電したエネルギーが余れば、電気を売ることができるメリットもあります。
LCCM住宅
LCCM住宅とは、ライフ・サイクル・カーボン・マイナスを略したもので、エコ住宅の中で最終的な目標とされているランクです。建物を建設する時点から、住んでいるとき、最終的に住宅を解体するときまで、CO2の排出を抑えられる住宅をLCCM住宅としています。ZEH住宅は住んでいる環境に限られましたが、建設時から解体時まで考えられているのがLCCM住宅らです。CO2の排出量を抑え、さらに再生可能エネルギーをつくり出すことが、SDGsの目標を達成するためにも大きなポイントになっています。
エコ住宅のメリットとなる魅力
エコ住宅は環境問題のメリットだけでなく、住みやすさや経済的にも魅力的なメリットがあります。魅力的なエコ住宅をポイントごとに解説します。
光熱費の軽減
電気代やガス代などの光熱費が軽減できることは、家計にとって大きなメリットです。昨今は光熱費の高騰もあり、エコ住宅の魅力は大きいでしょう。気密性と断熱性に優れた構造は、夏は涼しく冬はあたたかい住まい環境を実現します。太陽光発電を設置すれば、電気を発電して賄うことができます。さらに、エコ住宅は窓の外と内の温度差が少ないため、結露やカビの発生を抑えることが可能です。健康面や掃除の手間、メンテンナスにも嬉しい特徴があります。
補助金の活用
補助金の活用も、エコ住宅を後押しする嬉しい要素となっています。補助金の種類は複数あり、条件もさまざまなので申請をする販売業者や工事事業社に詳細を確認しましょう。注文住宅対象の補助金、蓄電設備の補助金、電気自動車充電設備の補助金など、初期費用やランニングコストの負担を軽減できる補助金が多くあります。
災害時の対策
太陽光発電と蓄電システムを備えておけば、災害時でも電力が確保できて安心です。災害時に停電になっても、電気が使えると使えないでは大きな差があります。明るい環境、涼しい環境、温かい環境、温かいご飯、テレビやスマホの情報通信など・・・すべてに電気が必要です。
エコ住宅で使える補助金・減税制度の種類
エコ住宅を選ぶ上で、「補助金や減税制度があるから」という理由の人は多いです。エコ住宅で使える補助金と減税制度の種類について解説します。また、今回ご紹介する補助金・減税制度以外にも、リフォームで補助金が出るものや、自治体が独自で補助金の制作を打ち出している場合もあります。内容は自治体で異なる場合や内容が更新されることもあるので、最新の情報をチェックしましょう。
地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、認定長期優良化住宅、認定低炭素住宅、ZEHを対象とした補助金制度。木材や建材などの地域の事業社がグループを組み、高品質な木造住宅の建設をする上で地域の材料の活用を促進するための事業です。補助金額は、1戸あたり上限140万円となります。
ZEH住宅補助金
ZEH住宅として基準を満たしていれば、1戸あたり55万円の補助金を受け取れます。ZEH住宅の主な条件は以下です。
・耐熱等級5以上であること
・省エネ等級6であること
・太陽光発電で年間のエネルギーを0にできること
さらに、より多くの基準を満たしたZEH+であれば、1戸あたり100万円の補助金を受け取れます。ZEH+の主な条件は以下です。
・蓄電システム
・V2H充電設備
・燃料電池
・太陽熱利用温水システム
・太陽光発電システム10kW以上
認定低炭素住宅で所得税控除の増額
住宅ローンによる所得税控除がありますが、認定低炭素住宅であれば控除額が増額されます。一般住宅の場合は、10年間で210万円が最大控除額ですが、認定低炭素住宅であれば10年間で最大409.5万円の控除が可能です。住宅ローンが10年以上、床面積は50㎡以上など条件を満たす必要があるので確認しましょう。
エコ住宅で気を付けるポイント
SDGsを意識したエコ住宅はメリットが多いですが、気を付けたいポイントもあります。デメリットを知っておくことで対策もしやすくなるでしょう。
建設費用
エコ住宅は耐久性の高い構造、気密性や断熱性の高さ、太陽光発電、省エネ設備など高性能かつ高品質な家づくりになるため、その費用は高額になります。光熱費の負担を抑えるなど、ランニングコストでのメリットはあるものの、建設や設置する初期費用として大きな金額が必要です。補助金の利用や税制優遇のメリットも大きいですが、すべてを賄える訳ではないので予算とのバランスを見て検討しなくてはいけません。
ハウスメーカーや建設会社の選定
エコ住宅の建設は、細かな基準をクリアした建設技術が必要です。補助金を受け取るためには、ハウスメーカーや建設会社が申請をしなくてはけません。そのため、基準に対応して建設や申請ができるところに限られてきます。エコ住宅の建設実績が豊富にあるかなど、よくチェックしてビルダーを選定しましょう。
監修 野村 綾乃氏
株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役
大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。