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金利上昇に伴う住宅ローン金利について
目次
住宅ローンに関わる2種類の金利
金利の種類は、「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。そして住宅ローンのタイプは、主に「全期間固定金利」「全期間変動金利」「固定金利選択型」の3つです。それぞれのメリットやデメリット、特徴を理解して進めなくてはいけません。金利の種類や特徴について解説します。
固定金利
固定金利は、支払い期間中の金利が固定されるため、利上げとなっても契約時から金利が変動することはありません。「全期間固定金利」は、最長35年にも渡る長期間のローンの場合、途中で金利が上がってしまう心配がなく、安心して返済プランを立てることができるメリットがあります。しかし、金利が上がるだけでなく、下がるケースの場合には、金利低下のメリットは受けることはできません。金利の上昇のリスクを避けたい人や、借入時に決まった金額を将来にわたり変わらずに返済したい人にお勧めになりますただし、金利変動のリスクがない分、変動金利よりも高い金利設定になっています。長期的な安心材料のメリットと変動金利よりは高い金利のデメリットの、どちらを重視するかがポイントになります。
変動金利
変動金利は、世界や国内の情勢によって、金利が変動する可能性があります。金利が高くなるケースもあれば、低くなるケースもあります。「全期間変動金利」は、金利が変動するリスクがつきもので、計画的な支払いができないケースもあるでしょう。ただし、このような金利変動のリスクがある分、金利の設定が固定よりも低くなっています。とにかく金利重視で、スタートの支払い負担を減らしたいという方におすすめです。金利の上がる前に支払いができれば、固定よりも総支払返済金額を抑えて返済完了が可能です。また、固定と変動を組み合わせた、「固定金利選択型」も住宅ローンのタイプにあります。2年、3年、5年、10年と決めた期間を固定でスタートすることができ、それ以降は変動となるタイプです。決めた期間の利上げを、固定でリスクヘッジすることができるタイプになります。
金利上昇による住宅ローンへの影響
金利の上昇によって影響を受けるのが変動金利です。利上げされてしまうことで、支払支払額がどのように変化するのか解説します。
住宅ローンの支払いパターン
住宅ローンの支払総額は、「借入金額+利息」で計算します。支払方法は「元利均等返済」と「元金均等返済」の2パターンがあります。元利均等返済は、毎月の支払額が変わらず一定の支払方法です。元金均等返済は、元金を減るとともに利息も減っていく支払方法になります。一般的には、支払い開始から毎月計算のしやすい元利均等返済を選ぶケースが多いです。
金利が1%上がるとどうなる
多くの人が気になるのが、金利が1%上がると実際どう変わるのかということ。借入額が3,000万円で、35年の支払い期間とした場合のシミュレーションをしてみましょう。金利によって利息額の変化が総支払額に影響を与えます。利息額の計算方法は「ローン残額×月利(%)」です。月利とは、公表されている金利を12ヶ月で割った数字になります。金利1%の場合は、0.01/12になるので、0.00083。よって、初月の利息金額=3,000万円×0.00083=25,000円というように計算ができます。利息額は毎月の借入残額によって変わりますので、返済していく毎に金利は変わり、金利1%で見た利息の総支払額は5,567,700円。これが金利2%となると、利息の総支払額は11,783,760円です。利息の支払い総額が、倍以上になっているのがわかります。これだけで利上げが及ぼす、総支払額への影響が大きいことが実感できるでしょう。
変動金利でもすぐに支払いが増えるわけではない
利上げが決まったからといって、すぐに毎月の支払額が増えては対応できない人が続出しかねません。そのため、金利が変動したとしても来月からすぐに支払い額が増えるわけではないです。返済ルールには「5年ルール」と「125%ルール」の2つのルールがあります。それぞれのルールについて解説します。
5年ルール
変動は半年ごとに金利が更新されますが、すぐに毎月の支払額に反映される訳ではありません。5年ルールは、金利が上昇しても月々の支払いやボーナス払いの金額が5年間変わらないというルールです。本来であればすぐに支払額が増えるところですが、5年間の猶予があります。ただし、支払い額が変わらないとは言え、金利の上昇により利息は増えているので、借入残額は予定通り減っていません。その分が後からしわ寄せが来るので、計画して対策をしておく必要があります。
125%ルール
利上げしたときの対策として「125%ルール」があります。月々の支払額が増える上限として、前回支払額の125%アップまでというルールです。金利が急上昇してしまい、前回の2倍の支払額となってしまうと、支払えない人が続出してしまうので、それを回避します。例えば、毎月12万円の支払いをしていた場合、利上げにより本来は16万円の支払額になるところ、125%アップの15万円が上限となります。ただし、これも5年ルールと同様で、借入残額は予定通り減っていません。このまま利上げが続いて、期限までに支払いができない場合は、最終段階で残額が一括支払いとなるので注意しましょう。
金利が上がる対策をする方法
変動を選択する場合、これからも利上げがされるリスクは付き物です。利上げリスクに備えて対策できる方法を解説します。
繰り上げ返済をする
利上げ対策としては、金利が上がらないうちに、早く返済してしまう有効な方法として繰り上げ返済があります。返済期間短縮型と返済金額軽減型があり、繰上返済をすることで、総支払期間を短くすることで返済総額を減らす方法と、期間はそのままで毎月の返済金額を軽減する方法があり、どちらも一定の効果が期待できます。
金利上昇に備えて貯蓄をしておく
金利の変化に早く対応するには、計画的に資金に余力を持っておくことが大切です。貯蓄があれば繰り上げ返済だけでなく、金利が低い住宅ローンに借り換えなど選択肢が広がります。変動の金利リスクに備えるために、余裕を持って計画しておきましょう。
借入金額を抑える
借入金額が多いほど、利上げになったときのダメージも大きいです。変動で利上げのリスクを抑えるためには、頭金を増やすか、物件価格を抑えて借入金額を抑えることが有効な方法になります。(変動金利は当初の支払いを抑えることができるので、本来より多くの借入をできるメリットとデメリットがありますのでご注意下さい。)住宅ローンは最長35年の長期ローンになるので、利上げだけでなくインフレによる生活の変化、病気やケガによる収入の変化、転職や勤務状況など仕事上の変化なども起こる可能性があります。そのようなときに対応ができるよう、無理のない支払方法を計画しましょう。
監修 大森 英則氏
FP相談室/ファイナンシャルプランナー
主に個人のお客様のお金にまつわる様々なご相談(教育費・住宅費・老後費用など)を承り、お客様の紹介を中心に活動させていただいてます。具体的な事例を交えたわかりやすいご案内が特徴で、企業様や市町村にてセミナーを実施。また同業の営業の方の研修も行っています。金融資格だけでなく、ピンクリボンアドバイザー、認知症介助士、住宅ローンアドバイザーなどの資格を持つ異色のファイナンシャルプランナーです。