家づくり

夏でも快適に過ごそう!暑さ対策をした家づくりのポイント!

熱帯夜が続く毎日の中で、快適に過ごせる住まいでなければ疲労が溜まるばかりです。地球温暖化によって年々暑さも増しています。家づくりにおいては、暑さ対策や熱中症対策を取り入れることが非常に重要と言えます。暑さをしのぐための家づくりのポイントを見ていきましょう。

家づくりにおいて、暑さ対策の重要性

夏になると、野外だけでなく屋内でも熱中症になって救急搬送されるニュースが見られます。さらに気温の高さは体温を超すときも珍しくなってきました。そんな毎日でクーラーが不可欠ですが、一日中つけ続けるのも光熱費が気になるものです。やはり暑さに強い家づくりを行うことが重要と言えます。

年々、猛暑日・熱帯夜が増えている

扇風機では追い付かず、夜間もクーラーを入れて寝ている家庭も多いです。その結果クーラー病や夏風邪を引いてしまう人もいるようです。実際のところ、気象庁のデータによると夏場の気温はここ100年で1.16℃上昇していることが分かっています。地球温暖化が各家庭にもたらす夏の不快感は相当なものであり、体調を壊す人も毎年たくさん見られます。夜間も寝苦しく、疲れが取れないまま翌日は家事育児や仕事をしなければなりません。猛暑日と熱帯夜が続く地球の状態を変えることは難しそうです。だとすれば、その中でいかに住みやすい家づくりをするかが人間の課題となってくるでしょう。

自宅で熱中症になる可能性も!

熱中症アラームというものが近年全国地域で発令されています。これにより野外へのお出かけを控える人がいるとは言えど、家の中でも熱中症になる人がいるわけです。もちろん扇風機やクーラーなどを使用していないことが原因のケースもありますが、何より家の構造自体に暑さ対策が成されていないことも大きな要因です。特に体力がない子どもや高齢者は注意しなければなりません。高齢者の場合は自身で体温管理ができなくなってしまい、室温の暑さに気付かず倒れてしまうケースも。体温管理ができなくても安全に住める家であることが理想です。

そしてコロナ渦の影響もあって在宅ワークが増えている現代では、パソコンを部屋で使うことで機器類からの発熱により部屋の温度が上昇することもあるほどです。台所で火を使って調理しているときも、驚くほど高室温になっていることがあります。我慢して過ごしていると、気が付くと頭痛や吐き気など熱中症の症状が出ることもあるでしょう。こうした諸々は、家づくりの際の暑さ対策を万全にしておけば緩和できます。住人の健康を守るために、家を建てる時点で暑さを防ぐ工夫が必要不可欠です。


暑さ対策のポイント!

では、具体的にどのような暑さ対策があるのでしょうか?冷房エネルギーの軽減や外壁の熱遮断などさまざまな方法があります。家の建築にあたってはできる限りの工夫策を導入したいものです。高気密・高断熱、日射遮蔽と湿度調整など建物に取り入れたい方法について細かく見ていきます。

日射熱を遮ろう

日射熱とは、言葉通り「外から室内に差し込む日差しの熱」のことです。特に夏場は、窓から強い日差しが入ってくるため日射熱を遮る対策が家づくりには欠かせません。そうすることで室温が上がるのをいくらか抑えることができます。この仕組みを日射遮蔽と呼びます。日射遮蔽を意識した家づくりとして、まずできることが窓のガラス選びです。日射侵入率の低い窓ガラスとしては、熱線反射ガラスがおすすめです。さらに窓にはシェードやオーニングを設置すると共に、庇(ひさし)もつけるようにします。外壁に関しても、日射反射率を高くする施工を施すと良いでしょう。最近では太陽光パネルを設けて、屋根と建物の間に空気の通り道をつくる手もあります。

高断熱・高気密を意識しよう

室内に外からの熱が伝わらないようにして、空調で冷えた室温をキープすると家の中は比較的涼しいです。そのためには高断熱と高気密住宅であることが大事です。対策としては、断熱材を壁や天井に充填します。工務店がよく行う方法として、窓や換気口などの開口部には高断熱サッシを使う方法もあります。外壁だけでなく屋根材にも断熱材を使用すると、屋根に照り付ける熱が建物内に侵入しにくいです。室内に外気温の影響が少しでも減るようにしていくことが重要です。できるだけクーラーなどの空調を使わずに済めば、室温も安定して心身の不調も起こりにくいでしょう。

熱気の排出もポイント

いろいろな工夫や対策をしても、建物内には熱がこもってしまうことは仕方ありません。大切なのは、室内に滞ってしまった熱をうまく排出する工法です。熱気を排出できる建て方として外断熱二重通気構造と呼ばれる工法がメジャーです。断熱材で柱などの主要躯体を覆って断熱層をつくり、そして外と内に挟み込むように通気層をつくる工法です。床下にダンバーを設置して外気を取り込み、小屋裏にもダンバーを付けてそこから熱気を排出します。この仕組みによって、室温上昇を防ぐことができるというわけです。断熱ラインと小屋裏ファンを取り入れた家は人気がありよく見られるようになりました。

全館空調もおすすめ

全館空調とは、家の中の空調を一括管理するシステムのことです。リビングや寝室といった各部屋にエアコンを設置するのではなく、小屋裏などに大型の空調設備を置きます。そして家の中全体の換気や空調管理をする方法です。1台で建物全部の空気清浄と冷暖房と換気をしてくれて便利なため近年では全館空調の一戸建ても増えています。全館空調はその日その日で過ごしやすい室温に管理してくれます。エアコンをずっとつけっぱなしにするよりも、長い目で見ればコストパフォーマンスが高いとも言えるでしょう。太陽光発電システムと組み合わせる手もあります。

暑さ対策と同時に寒さ対策もできる!?

上に述べたような諸々の暑さ対策は、実のところ寒さ対策にもなり得ます。夏に涼しい家というのは、冬に温かい家でもあるからです。夏の暑さと冬の寒さ、そんな外気の影響をできるだけ受けずに室内で快適に過ごせるのがメリットです。トレンドになっているパッシブデザインも、1年中快適な室温で過ごせる家づくりの作戦のひとつでもあります。

暑さ対策=寒さ対策になる!

室内の熱気を排出する外断熱二重通気構造を上記に説明しましたが、同時にこれは冬場の寒さ対策にもなります。床下のダンバーと小屋裏のダンバーを閉めると、冬場は室内の熱を封じ込めることができるからです。夏場は熱を出して冬場は熱を閉じ込めるという堅実な工法と言えるでしょう。まさに暑さ対策のための工法が寒さ対策にもつながる良い例です。さらに、パッシブデザインの家も1年を通して暮らしやすい住宅と言えます。自然風をうまく取り入れて室内の熱気を外へ放出するといったやり方や、太陽熱を夏は遮り冬は取り入れる庇の設置もまさしくパッシブデザインでしょう。そのほか、日射が強いところに蓄熱性が高いリビングをつくるといった間取りも、暑さ対策・寒さ対策になります。夏は涼しく冬はあたたかい家は住まいの理想形です。

マイホームの暑さ対策は家族みんなの幸せにつながる

 

家は家族みんなが最もリラックスできる場所であるべきと言えるでしょう。そのためにも、建てる前に暑さ対策についてはしっかりと業者と話し合うことが重要です。こうして見てみると、たくさんの方法があってそれなりに対策できることが分かりました。もちろん予算もありますから、できる範囲での工夫を取り入れられると良いですね。マイホームの暑さ対策は、そこに住む家族みんなの幸せにつながるはずです。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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