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転職が住宅ローンに与える影響は?

家を買うのに住宅ローンを組みたい、けれども近いタイミングで転職をしようと思っているそんなこともあるでしょう。しかし転職は住宅ローンの審査に大きな影響を及ぼします。ここでは転職による住宅ローンの審査の通りやすさの関係や、転職後に住宅ローンに申し込む際の注意点について解説します。

1. ローン審査に転職は影響するのか?

まず住宅ローンの審査に転職は影響するのでしょうか。転職がローン審査に及ぼす影響について解説します。

 

転職は住宅ローンの審査には不利になりやすい


転職は基本的には住宅ローンに限らずお金が関わる契約において不利になりやすいです。
お金が関わる契約の審査では年収や雇用形態だけでなく勤続年数もチェックされるうえ、勤続年数は審査のうえでのウエイトも高いです。実際に国土交通省が実施した「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、95.6%が勤続年数を審査項目に入れていると回答しています。
ちなみに勤続期間の目安としては23年程度が多く、短めに設定している金融期間だと1年以上となっています。
これは一つの職場で安定して収入を得られているか確認する意味合いが大きいです。住宅ローンで大切なのは、毎月決められた日に問題なく返済ができることでしょう。そこで仕事を転々としていて収入が安定しないと、いくら高年収な人でもいつ返済が滞るかわかりません。そのため、毎月滞ることなく返済できるかどうかを判断する基準として、住宅ローンの審査では勤続年数が問われます。
転職してすぐのタイミングだと、「思っていたのと仕事内容が違った」「職場の雰囲気が合わなかった」などの理由で仕事を辞めてしまう人も少なくありません。このように転職してすぐの人は短期離職のリスクが高いので、住宅ローンの審査においても不利になりやすいです。

転職後に審査に通るケースとは

住宅ローンに申し込むならできるだけ転職をする前に済ませるのが理想ではありますが、場合によっては転職後の方が有利に働くこともあります。その場合とはキャリアアップのための転職である場合です。

昔は1つの企業で長く働くことが良いこととされてきましたが、現代では「今の会社では十分に活躍できない」と判断して転職することも悪いことではないと評価されるようになっています。そのため、転職先が前の職場よりも大手だったり、任せてもらう仕事の難易度が上がるとともに年収も上がっていたりすれば、プラスな意味合いでの転職と捉えてもらえるでしょう。実際に勤続年数が短い状態での住宅ローンの申し込みの場合、担当者から職務経歴書の提出や経歴の説明を求められることも多いです。
そのためキャリアアップ目的で転職してすぐに住宅ローンに申し込もうと思っている場合、申し込みの際に職務経歴書を準備しておくと良いでしょう。
それとは逆に職場や仕事が合わなかったなどマイナスな理由での転職は住宅ローンの審査において不利に働く可能性が高いです。そのため、経歴について問われたときにしっかり担当者に説明できない、人に話せるような経歴ではないなどと感じている場合は申し込みを控え、まずは今の職場での勤続期間を少しでも延ばしましょう。
また、グループ企業への出向や転籍の場合もあまり審査に影響しないと思って問題ありません。この転職とはまた事情が異なるので、安心して申し込んで良いでしょう。ただ、企業名に前の会社に関連するワードが入っていない場合など、職務経歴書を見ただけではグループ企業への異動・転籍とわかってもらえないこともあります。したがって、異動・転籍の場合も必ず担当者にその旨を伝えましょう。

そして転職後すぐに住宅ローンを契約したいと思っている場合、審査で勤続年数が問われない住宅ローンを選ぶのも一つです。多くの金融機関では勤続年数23年以上などと条件を設けていますが、一部では勤続年数に関係なく申し込める住宅ローンも存在します。
ただし不景気による貸し倒れなどのリスクから、本来なら勤続年数の申告が必要ない住宅ローンでも、特に勤続年数が1年未満の場合職務経歴書などの提出が求められるケースが増えています。
そのため、勤続年数が申し込み条件に無い住宅ローンでもあくまで勤続年数が1年以上あったうえで申し込んだ方が有利ということは理解した上で利用しましょう。

2.転職後の住宅ローンを組む場合の注意点


転職後に住宅ローンを申し込んでも審査に通ることはあります。ただし転職前に申し込んでいた場合と比べて不利な条件になってしまう可能性が高いです。そのため、転職後に住宅ローンに申し込む場合はリスクを理解したうえで申し込む必要があります。それでは転職後に住宅ローンに申し込むにあたってのリスクについて解説します。


転職したばかりは見込み額が年収とされる

転職したばかりのタイミングで住宅ローンに申し込んだ場合、実際に1年分の給料が支払われているわけではないので、すでに支払われている数ヶ月分の給料から年収を判断した見込額で審査が行われます。
人によっては前の職場より月収が下がっていることもあるでしょう。加えてボーナスは実際に支払われるまで金額がわかりません。そのため、ボーナスの見込み額は実際に支給される金額よりも低く設定されてしまうことがあります。
ちなみに1回に支払われるボーナスの平均額に関しては、給与2.5ヶ月分程度が相場と言われています。これに勤務先の会社のボーナス支給回数を掛けてボーナスの見込み額を算出します。
このように見込み額で審査を行う故に、年収が下がって審査の際に不利に働いてしまうケースは少なくありません。
このような理由からも、住宅ローンに申し込むにあたっては早くても勤続年数が1年以上になり、年収が正確に把握できるようになってからのほうが良いでしょう。

借入可能額が少なくなる可能性がある

転職したばかりで勤続期間が短いと、希望しているよりも借入可能額が低くなる可能性があります。
会社で働いていると基本的には一定のペースで昇進・昇格していくことになりますが、勤続年数が短いとそのペースが把握できません。住宅ローンは長期間の契約になるケースが多く、返済計画を立てるにあたっても申込者が定期的に昇進・昇給し、1ヶ月に返済できる金額も増えていったり、繰り上げ返済を利用したりすることを前提とします。
そこでその会社で昇給・昇進するペースがわからない、そもそも昇給・昇進できるかわからないと、数年先の返済計画を立てるのが難しいでしょう。それ故に将来的に返済が難しくなってしまうことに備え、借入可能額が少なくなる可能性があります。
転職してすぐに住宅ローンを利用する際は、借入可能額が想定よりも低くなることを事前に想定し、自己資金を多めに用意したうえで申し込みましょう。ある程度自己資金が貯まるまで待っていれば、当然その分転職先での勤務期間も長くなります。申し込み金額も減って審査にも通りやすくなるので、転職後すぐに住宅ローンに申し込もうと思っているなら、借入可能額が想定よりも少なくなる可能性を考えて少し待ってみてその間貯蓄に取り組んでみると良いでしょう。
ライフプランなどを作成し、しっかりとした借入計画、返済計画を考慮した上で、ご検討いただくことをお勧めします。

3.住宅ローンを組む場合、転職前?転職後?どちらがいい?


住宅ローンの申し込みは転職前に行うのが理想です。転職してすぐに住宅ローンに申し込んでしまうと、すぐに仕事を辞めて返済できなくなるのではないかと判断され、審査に落ちてしまうリスクも高くなることや借入する金融機関の選択肢を減らしてしまうことになります
安定した収入があることをアピールし、審査を有利に進めたいならできるだけ転職前に申し込みを済ませましょう。

 

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監修 大森 英則氏

FP相談室/ファイナンシャルプランナー

主に個人のお客様のお金にまつわる様々なご相談(教育費・住宅費・老後費用など)を承り、お客様の紹介を中心に活動させていただいてます。具体的な事例を交えたわかりやすいご案内が特徴で、企業様や市町村にてセミナーを実施。また同業の営業の方の研修も行っています。金融資格だけでなく、ピンクリボンアドバイザー、認知症介助士、住宅ローンアドバイザーなどの資格を持つ異色のファイナンシャルプランナーです。


 


https://oshiete.chunichi.co.jp/owari/pro/82/

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