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令和4年以降も延長!住宅取得等資金贈与の特例、いくらお得なのか計算してみた!

家族の間でも高額なお金をプレゼント(贈与)すると贈与税がかかってしまいますが、住宅取得時の資金援助には特例があり要件を満たすと一定の金額までは非課税で受け取ることが可能です。

1.住宅取得等資金贈与、非課税の特例

家を買う時に両親や祖父母から資金援助を受ける方も多いかと思います。
通常であれば、家族の間でも高額なお金をプレゼント(贈与)すると贈与税がかかってしまいますが、住宅取得時の資金援助には特例があり要件を満たすと一定の金額までは非課税で受け取ることが可能です。
この制度は令和3年12月31日までとなっていましたが、税制改正により令和5年12月31日までに延長となりました。では、贈与税が非課税になるというといくら位お得になるのでしょうか?制度の内容を確認しながら、モデルケースで計算してみました。

住宅取得等資金贈与、非課税の特例とは

子供が結婚し、孫が生まれ、そろそろマイホームを、となった時、両親や祖父母の貯蓄に余裕があれば、少しでも足しにと資金援助をされることはよくあるかと思います。でも、お金をプレゼントすると税金がかかってしまう、と思うと二の足を踏んでしまうかもしれません。
この特例は、一言でいうと「子供や孫が住宅を取得する時のお金のプレゼントは、一定額(条件)までは贈与税を取りませんよ」と許してくれる制度です。私達が家を買うことを応援してくれる制度、ということになりますね。

沢山の人が家を買うと、経済に与える影響も大きくなります。住宅会社だけでなく、不動産会社、引越し業者、家具家電の購入、住宅ローンを貸す金融機関などなど、幅広い事業者に仕事が生まれ景気が良くなっていきます。
耐震性能の高い家が増えれば、災害時にも被害が減る可能性もありますし、エネルギー性能が高い家が増えれば、カーボンニュートラルの時代に近づく可能性も高まるでしょう。世代間の経済格差も埋まれば、出生率の上昇につながるかもしれません。様々な効果が考えられるため、国は私達の住宅取得を応援してくれているのです。

 

令和4年以降の住宅取得等資金に関する贈与税の改正点と制度の内容

令和5年まで2年間延長になった非課税制度はどんな内容なのか、どのように変わったのかを確認してみましょう。

<主な改正内容>

① 適用期限
以前の制度は「令和3年(2021年)12月31日まで」と定めていましたが、期限が2年延長となり「令和5年(2023年)12月31日」までの適用となりました。

② 非課税限度額
住宅の形態 非課税限度額

耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
上記以外の住宅用家屋 500万円
非課税限度額は最大1,500万円でしたが、1,000万円に減額となりました。

③ 中古住宅の築年数要件
対象となる住宅用家屋の要件であった築年数基準を廃止し、登記簿建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋は新耐震基準適合とみなされるようになりました。

④ 受贈者の年齢要件
成人年齢が20歳から18歳に引き下げとなったことに合わせて、令和4年4月1日以降の贈与から18歳以上に引き下げられました。

①〜③の改正は、2022年(令和4年)1月1日以後、④については、2022年(令和4年)4月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に関する贈与税について適用となります。

取得される住宅の形態によりますが、この特例では1,000万円までが非課税となり、特例以外に元々ある非課税額110万円と合わせ、最大で1,110万円が非課税となることになります。

2.贈与税の仕組みを確認

贈与税は受け取った人が納める税金

贈与には、プレゼントする人(贈与者)とそれを貰う人(受贈者)が存在します。当然ですが、贈与税はプレゼントを貰った人(受贈者)が納める税金です。
個人の場合、税金の計算は1月1日から12月31日という1年間(暦年)で計算されるため、暦の上の1年間で貰った財産の金額の合計に対して税金がかかります。
お金(財産)を貰うと何でも税金がかかるのか、というとそうではなく、1年間で110万円までは贈与税はかからない、基礎控除があります。お年玉や入学祝い、結婚祝いなどで贈与税を払うことはないかと思いますが、この金額までなら申告をする必要もありません。そしてこの110万円の基礎控除は、住宅取得等資金贈与の特例とは別カウントとなるため、合計1,110万円までが非課税となります。

※110万円の基礎控除は将来廃止も含めて見直しの議論がされています。

 

贈与税の税率

贈与税の税率は、直系の親または祖父母からの贈与では「特例税率」を、とそれ以外の人からの贈与では「一般税率」を用いて計算します。直系の、ということですから、直系ではない配偶者の両親(日常会話ではお義父さん、お義母さんと言うかもしれませんが)や祖父母は一般税率で計算されることになり、住宅資金等贈与の特例も対象外となります。

特例税率(直系の親、祖父母からの贈与)

一般税率

3.贈与額1,000万円を受けるとどうなるか

1,000万円にかかる贈与税はいくらなのか

前述の贈与税率をもとに、自分の両親から1年間に1,000万円の贈与を受けた場合の税額を計算してみました。

  課税価格 = 1,000万円 − 基礎控除 110万円 = 890万円
  税額 = 890万円 × 税率 30% − 控除額 90万円 =177万円

納める贈与税は177万円となります。

住宅取得等資金贈与の特例を利用すると贈与額1,110万円までは非課税となるためこれだけの税金を払わなくて済むと考えると、とてもありがたい制度だと考えられます。
家を買う時には贈与を受けずに、将来親が亡くなった時の相続で財産を引き継いだとすると相続税の対象となり、条件によっては非課税で受け取れる可能性もあるため、税金の払い方として損か得かということは議論にすることでは無いかと思いますが、本当にお金が必要な時に世代間の資金移転がスムーズに出来るということはとても価値のあることだと考えられます。

1,000万円を住宅ローンで借りるとどうなるか

資金贈与を受けずに、住宅ローンで1,000万円借りた場合総返済額がいくらになるか計算してみました 

  借入金額 1,000万円 返済期間30年 金利1% ボーナス返済なし
  返済月額 32,163円 総返済額 約1157万円 返済利息 約157万円

利息だけで157万円、これに事務手数料や保証料などの経費もかかりますので、結構な金額になります。もちろん返済年数や金利などの条件により効果は変わりますが、金利が低い変動金利型のローンであれば将来の金利上昇リスクも負うことになります。 

 

返済額と同額を積立投資したらどうなるか

資金贈与を受けて借りずに済んだ金額、月額3万円を使ってしまわずに積立投資に回したらどうなるでしょうか?
以下の条件でシミュレーションしてみました。

[ 積立月額/3万円・運用期間/30年・想定利回り/年率3% ]


※税金、手数料などの費用は考慮されていません。

 

 金融庁ホームページ「資産運用シミュレーション」より

年率3%の想定利回りだと688万円増えることになります。住宅ローンの利息が無くなるより大きな成果となる可能性がありますね。ちなみに想定利回りが5%だと運用収益は1,416万円となり、運用成果が2,496万円となります。
財産は親から子へ、孫へと何代も引き継がれていく可能性があるものですから、世代間の資産移転と運用の仕方を工夫することで大きな差が生まれることになりそうです。

 

 

 

4.住宅資金贈与に関するまとめ

令和4年の改正で非課税限度額が1,500万円から1,000万円に下がってしまった、とネガティブな捉えられ方をされる人もいるかも知れませんが、十分価値のある制度かと思われます。住宅の取得を機に、人生全体、ご家族全体のお金の計画を考えてみることをおすすめします。

※記事中の計算は一般的な条件をもとに概算で行っています。詳細な税金の計算や適用条件につきましては所管の税務署にてご確認ください。

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監修 鈴木 大輔氏

家計のサポートセンター 代表ファイナンシャルプランナー

静岡県浜松市で活動する独立系ファイナンシャルプランナー。住宅取得を希望するファミリー層からの信頼が厚く、住宅展示場でのセミナー、相談員などの依頼も多くこなす。地元金融機関の職員教育にも携わり、FMハローのラジオ番組「カネラジ〜お金の話をするラジオ」パーソナリティとしても活躍中。


家計のサポートセンターhttps://www.kakei-sc.jp

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