家づくり

ZEH(ゼッチ)はお得?「必要ない」と判断する前に制度や補助金をチェック

今話題のZEH(ゼッチ)について、メリット・デメリット、各種制度や補助金等に関する情報をご案内します。

1.そもそもZEH(ゼッチ)とは?

そもそもZEH(ゼッチ)とは何なの?

ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

《出典:経済産業省ホームページ》https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html

 

ざっと噛み砕いて読み解くと、「使うエネルギーと作るエネルギーを同じにして、ネット(合計)でプラスマイナスゼロになるような住宅」ということになります。
それを目指すためには、使うエネルギーを減らし、作るエネルギーを増やす、または作ったエネルギーを無駄なく上手に使う、ということが必要になりますね。

使うエネルギーを減らすためには、建物の断熱性能を高めて冷暖房にかかるエネルギーを抑えることが効果的ですし、作るエネルギーを増やすためには太陽光発電の面積を増やしたり機能を高める必要があります。
上手に使う、という点では蓄電池を活用したり、HEMS(ヘムス)と言われる家中の電気を効率的に使うためのコントロールをするシステムを導入するなどの方法が考えられます。

こうした技術を組み合わせ、エネルギー利用が一定(ネットゼロ)以上となる住宅の基準をZEH(ゼッチ)として認定し、補助金等の制度によって推進されています。

なぜZEH(ゼッチ)ができたのか

近年、低炭素化、エネルギー問題、SDGsの取り組みなど、環境や資源利用に関する話題が増えていることに皆さんもお気づきだと思います。私達が暮らしていく上では様々なエネルギーが必要であり、環境に掛かる負荷も多大なものになっています。そして、生活の重要な部分を占める「住宅」での活動も、累積すると大きなエネルギーが必要となり、これを削減することは環境負荷を抑えるための重要なポイントとなります。

この生活に必要なエネルギーを少なくするために、エネルギー効率の良い住宅をたくさん建ててもらおう、ということでZEH(ゼッチ)の基準を設け、補助金などで推進されています。

ZEH(ゼッチ)の推進は建設から運用、環境への配慮と影響は広範囲に及ぶため、国土交通省、経済産業省、環境省の三省に渡った政策となっています。

建築時と廃棄時まで配慮したLCCM住宅

さらにZEH(ゼッチ)の基準に加え、住宅を建てる建築時と将来家を取り壊す廃棄時のCO2排出量も少なくなるよう配慮された住宅をLCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)とし、新たに補助金などで推進されることになりました。
こうして日本では、エネルギー基本計画において、「住宅については、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」とする政策目標を設定し、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指しています。

《出典:国土交通省ホームページ》https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000153.html

 

2.ゼッチ(ゼッチ)のメリット、デメリットを確認

ZEH(ゼッチ)のメリット

ZEH(ゼッチ)の基準を理解すれば、対象となる住宅は環境負荷が低く、断熱性能が高く、エネルギー使用が抑えられる事がわかります。断熱性能が高いことで夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活が送れます。近年の真夏の猛暑や冬場の急激な温度変化によるヒートショックから心筋梗塞などの事故を予防する効果もあり、健康のためにはプライスレスであると考えられます。

太陽光発電などの創エネルギーによって消費電力が抑えられ、経済的にも大きなコストカットが期待されます。通常支払っている光熱費の削減や売電による収入の増加など、家計にとってもとてもありがたい効果があります。
台風や地震などの災害に伴う停電時においても、太陽光発電や蓄電池を活用することができるため、安心な生活を送ることができます。

そして、ZEH(ゼッチ)を推進するための補助金も大きなメリットの一つです。
ZEH(ゼッチ)には性能によって基準が異なり、下記のの3種類があります。

①    通常の基準(ZEHNearly ZEHZEH Oriented
②    通常の基準に加え更にエネルギー効率を高めたZEH+、Nearly ZEH+
③    ZEH+に蓄電池、燃料電池などの設備を有するもの

各補助金は以下のようになっています。

①    60万円/戸(2022年度から55万円/戸)
②    105万円/戸(2022年度から100万円/戸)
③    105万円+α/戸(2022年度から100万円+α/戸)

※導入する設備による上乗せもあります。

補助金の活用によって導入コストを抑えることができるのは、たいへん大きなメリットになります。

《出典:2021年経済産業省と環境庁のZEH補助金について》https://sii.or.jp/moe_zeh03/uploads/zeh03_pamphlet1.pdf

ZEH(ゼッチ)のデメリット

ZEH(ゼッチ)のデメリットとして最も大きなものは、やはり建設時の費用でしょう。性能を高めれば当然コストが高くなり、補助金をもらったとしてもメリットが有るかどうか、ということが気になります。
太陽光発電のデメリットとしては、天候によって発電量が変わってしまう不確実性や、売電の場合は買取価格の減少、設備のメンテナンスコストや故障のリスクなどが考えられます。
ZEH(ゼッチ)の基準を満たすために、建物の構造や外観に制限が出る可能性もあります。太陽光発電の面積を広くする屋根の形状を選択しなければならなかったり、断熱性能を維持するため間取りに制限が出ることもあります。

3.ZEH(ゼッチ)が必要か不要か、判断するポイント

コストについてどう考えるか

ZEH(ゼッチ)基準を満たすためのコストは、住宅ビルダーによって変わってきます。太陽光発電などの将来のシミュレーションは今までの情報の蓄積のもと計算されていますので大きなズレはないものかと考えられますので、将来の家計の節約効果と合わせて計算していけば費用対効果も計算できます。
現状では、当然ですが性能を高めれば費用は相応にかかりますので、その費用を負担することができるかどうか、ということは重要なポイントでしょう。



無理にZEH(ゼッチ)の基準を目指さなくても、エネルギー効率の高い住宅を提供している住宅会社もあります。補助金をもらわなかったとしても初期コストが相応に抑えられれば費用対効果が上回る可能性もあります。
住宅を購入する際、売却することを想定している人は少ないかもしれませんが、各種基準を満たしていることで資産としての価値が高まる可能性もあります。

 

暮らし方についてどう考えるか

注文住宅の場合は、施主さんが設定した予算の中で建築を進めていくことがほとんどかと思います。ZEH(ゼッチ)についてはメリットもデメリットもありますから、住宅会社の方も予算内で収められそうならメリットを多く伝え、難しそうならデメリットを多く伝えて諦めさせようとするかもしれません。
また、基準を満たすことが得意な住宅会社とそうではない住宅会社でも意見は分かれるでしょうし、インターネット上にある情報もそれぞれの思惑によって書かれている可能性があることは理解しておくべきでしょう。

ZEH(ゼッチ)の基準が必要か不要か迷った時は、そもそも何のために家を建てられるのか(購入されるのか)というところに立ち返って見ることをおすすめします。

家族の安心や健康、自身だけでなく社会への貢献といったことも考えるのであればZEH(ゼッチ)の基準は目指すべきところと考えられるでしょうし、住宅費以外の支出(教育費やレジャー費、老後生活費など)を確保することで幸せを目指したい、ということであれば無理にこだわるところでは無いかもしれません。

「費用負担に耐えられる」「将来の不確実性に備えられる」「快適な暮らしや健康が重要と考える」

単純な損得だけではなく、皆さんの人生のテーマ、幸せのカタチから必要か不要かを考えてみてはいかがでしょうか。

監修 鈴木 大輔氏

家計のサポートセンター 代表ファイナンシャルプランナー

静岡県浜松市で活動する独立系ファイナンシャルプランナー。住宅取得を希望するファミリー層からの信頼が厚く、住宅展示場でのセミナー、相談員などの依頼も多くこなす。地元金融機関の職員教育にも携わり、FMハローのラジオ番組「カネラジ〜お金の話をするラジオ」パーソナリティとしても活躍中。


家計のサポートセンターhttps://www.kakei-sc.jp

他の記事を読む

家づくりを考える方向け専門家が教える生活・お金・住宅などに関する
無料オンラインセミナー