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暮らし
家庭菜園ができる庭の作り方
昨今の物価高騰の影響もあり、自給自足への関心が高まっています。
「家庭菜園を始めてみたい!」と、これまで経験がなかった人も家庭菜園に挑戦するケースが増えています。
「野菜を手軽に食べるために」
「自給自足で食費を抑えたい」
「農薬を使わない安心できる食材を食べたい」など、家庭菜園にはさまざまな期待が寄せられています。
しかし、手順や注意点などの知識がないまま始めてしまい、失敗してしまうことも少なくありません。
今回は、家庭菜園ができる庭のメリット・デメリット、作り方や注意点についてご紹介します。
目次
家庭菜園ができる庭のメリット
家庭菜園ができる庭があると、暮らしの中に多くのメリットが生まれます。日常生活の中で活かせば、健康や家計にも良い影響を与えるでしょう。
無農薬の野菜を食べる習慣ができて健康に
野菜にはビタミン・ミネラル・食物繊維など多くの栄養素が含まれており、日常的に野菜を食べる習慣は大切です。自分で育てた野菜があれば、自然と摂取の機会も増えるでしょう。野菜は食事だけでなく、スムージーなどにして手軽に栄養を摂ることもできます。収穫したての新鮮な野菜を食べることは、健康的な食生活の一助にもなります。また、無農薬の自家栽培なら安心して口にできる点も大きなメリットでしょう。
子どもの食育環境
「野菜がどう育ち、どう収穫されるのか」を体験することは、子どもの食育としても価値ある学びになります。太陽を浴び、自然の土に触れる家庭菜園は、子どもが自然に親しめる環境づくりともいえます。子どもの好奇心や観察力を育てるだけでなく、食材への感謝や食の大切さを知る良いきっかけになるでしょう。
食費の軽減
物価高や天候不順によって、野菜の価格が高騰することも珍しくありません。家庭菜園で野菜を収穫できれば、一定の食費削減効果が期待できます。ただし、種や苗、肥料、農業用具などの初期費用もかかるため、必ずしも節約につながるとは限りません。費用をなるべく抑えつつ、無駄なく効率良く野菜を育てましょう。
家庭菜園ができる庭のデメリット
メリットが多い家庭菜園ですが、いくつかのデメリットもあります。事前に理解しておくことで、適切な対策がとりやすくなります。
虫が発生する
家庭菜園によって、虫が発生しやすい環境にもなり得ます。特に健康でおいしい野菜ほど、虫が寄り付きやすくなる傾向があるようです。丹精込めて育てた野菜が、気付かぬうちに無視に食われてしまうケースも少なくありません。また、庭が玄関やリビングに近い場合、虫が室内に入り込むリスクもあるため注意が必要です。ただし、安易に害虫除けの薬剤を使うと野菜に影響を及ぼす恐れがあるため、天然由来の忌避剤や防虫ネットの活用を検討しましょう。
手間がかかる
家庭菜園は思った以上に手間がかかるケースもあります。水やり・肥料・雑草取り・害虫対策など、継続的な手入れが必要です。また、土壌が硬すぎる環境や水はけが悪い環境などは、土壌改良が必要となるケースもあります。「水だけあげていれば、どんな環境でも育つ」訳ではないので、手間がかかることも認識しておきましょう。
天候による影響
野菜の生育は天候に大きく左右されます。日照不足や長雨、強風などの影響によって生育不良や枯れてしまうリスクも。天候はコントロールできませんが、庭の位置や土壌排水性などの条件を予め整えておくと、ダメージを減らせるでしょう。
家庭菜園ができる庭づくりの手順
庭で家庭菜園に挑戦したいけれど、「どこから始めたらいいかわからない…」という人も多いのではないでしょうか。家庭菜園づくりは、以下の4ステップで進めるのが基本です。
1.家庭菜園をする場所を決める
2.農作業の道具を揃える
3.土壌のお手入れをする
4.苗を植え付ける
それぞれのステップを見ていきましょう。
1.家庭菜園をする場所を決める
まずは、家庭菜園を設ける庭の場所を決めます。野菜の育成には「日当たり」と「風通し」がとても重要です。理想的なのは、日照時間が長く確保できる南側または東側の場所。ただし、エアコンの室外機が近くにあると、風で植物に悪影響を及ぼす場合があるため避けるようにしましょう。
2.農作業の道具を揃える
必ずないといけないものではありませんが、以下のような基本的な道具を揃えておくと、作業がスムーズになります。
・鉢やプランター
・じょうろ
・スコップ
・剪定バサミ
・手袋
・支柱
・培養土
揃えることで費用を使い過ぎないよう、必要最低限の道具でスタートすることをおすすめします。
3.土壌のお手入れ
養分を吸収する根がしっかりと育つために、土づくりは大切なポイントです。良い土の条件は、以下の5つ。
・排水性が良い
・保水性が良い
・通気性が良い
・肥料バランスが整っている
・大きな石やゴミがない
クワやスコップで土を柔らかく耕すことから始めます。深さの目安は30cm程度。水道管やガス管がある場合があるため、確認しながら耕しましょう。掘った土はふるいにかけて細かい石やゴミを取り除きます。土の性質に合わせて腐葉土や堆肥などで調整を行い、お手入れ完了です。
4.苗の植え付け
土づくりが終わったら、いよいよ苗の植え付けです。苗は、茎が太くしっかりしていて葉の色が濃く厚みのあるものを選ぶと、丈夫に育ちやすくなります。
家庭菜園ができる庭づくりで気を付けたい注意点
家庭菜園の庭づくりには、いくつか注意点があります。気を付けるポイントを理解して、自分にあった方法で始めましょう。
管理ができる広さで始める
庭にスペースがあるからといって、いきなり広いスペースで始めるのは避けましょう。最初は手が行き届く範囲で小規模に始め、慣れてきたら徐々に規模を広げることをおすすめします。
生活動線を考えた場所選び
玄関から庭に行く動線、農作業の道具を取りに行く動線などを考慮できると、快適な庭づくりができます。また、駐車スペースがある場合は、車の出入りの妨げにならないかなど、日々の生活をイメージして家庭菜園をする場所を考えましょう。
複数の種類を育てるときは距離をとる
異なる種類の野菜を近接して植えると、土の中の栄養が偏ってしまうことがあります。それぞれの作物が適切な距離を保てるよう、余裕をもった配置が大切です。また、近くに芝生がある場合は、芝生に栄養素を摂られ野菜と競合してしまうこともあるので注意しましょう。
同じ野菜ばかり育てるのは注意
同じ野菜を連続して育て続けると「連作障害」を引き起こす可能性があります。連作障害とは、特定の害虫や病原菌が増え、土壌バランスが崩れてしまう現象です。結果的に収穫量が落ちてしまったり、植物の健康に悪影響が出ることもあるため、作付けのローテーションも意識しつつ家庭菜園を楽しみましょう。
監修 野村 綾乃氏
株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役
大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。