家づくり

注文住宅で予算オーバーしそう!オーバーしそうな時の対処法について解説

注文住宅は、自分の理想とする住まいが叶いやすい反面、設定していた予算を超えてしまうことも少なくありません。そこで、注文住宅で予算オーバーする原因や、予算内におさめるために内容を削るときのポイントなどを挙げてみます。

注文住宅で予算オーバーする原因について

そもそも、なぜ注文住宅では予算オーバーすることが多いのでしょうか。まずは、多くの施主が陥りやすい予算オーバーの原因について見ていきましょう。

こだわりの優先順位が付けられない

家は人生で何度も購入できるものではない高額な買い物なので、あれもこれもと欲張って選びがちです。しかし、土地選びから間取りや設備・仕様など、施主が決めなければならないことが多くある注文住宅では、要望やこだわりの優先順位をつけ、ある程度は妥協しなければ予算オーバーになりかねません。
例えば、家族全員の希望をリストアップした上で話し合って優先順位をつけ、どこが譲れないのか、どの部分を妥協したり諦めたりするのかを決めておけば、予算内でありながら家族のこだわりを反映した満足度の高い住宅になるでしょう。

注文住宅にかかる費用・ローンで借りられる金額を把握していない

 

注文住宅は、本体工事費用だけでなく、水道・ガスなどの引き込み工事、地盤改良、外構などの付帯工事も必要です。加えて、契約や購入に際して登記費用や仲介手数料、住宅ローン手数料がかかりますし、引っ越しや家具・家電なども購入しなければなりません。住宅の工事だけで予算いっぱいまで使ってしまうと、これらの諸費用であっという間に予算オーバーしてしまいます。
また、住宅ローンは債務者の返済能力を審査した上で融資額を決めるシステムです。注文住宅の注文や予算組みをする前に、いくら借りられるのかは知っておかなければなりません。住宅購入を考えるようになったら、できるだけ早めに金融機関で借入限度額や返済予定額などを確認して、予算や返済計画を立てておきましょう。

 

補助金・助成金制度を知らない

住宅を購入する際、条件を満たせば国や自治体が補助金や助成金を支給する制度があります。低炭素住宅や長期優良住宅、バリアフリー住宅など補助金等によって条件は異なりますが、これから注文住宅を建てるのであれば、これらの制度を活用するために条件を満たす住宅にすることも可能です。
また、住宅ローン控除や登録免許税の軽減など、補助金の支給ではなく税金の軽減措置もありますので、利用できる制度についてきちんと調べておきましょう。

注文住宅が予算オーバーしたらどこを削ると良いのか?

注文住宅で予算オーバーした場合、どこを削ればよいのでしょうか。土地、建物、内装についてそれぞれ“削るコツ”を挙げてみます。

土地の場合

土地は、立地条件や形状、周辺環境等で価格差が開きやすく予算を削りやすいです。一般的に、交通面での利便性や中心部との距離、周辺の設備、日当たり、土地の形状などで金額は左右されますが、土地の形状や日当たりは住宅の間取りや設計で工夫できますし、交通の利便性が高ければ中心部から多少離れていても生活に不便さを感じることは多くありません。家族にとって、譲れない点と妥協できる点を決めてからコストパフォーマンスの高い土地を探してみるとよいでしょう。

建物の場合

建物は、同じ広さでも建材のグレードやオリジナリティなどによって坪単価が変わってきます。予算を削るポイントとしては、できるだけ凹凸がないシンプルな形状にすること、廊下や階段ホールなど部屋ではない部分の床面積を極力減らすこと、外壁や屋根の形状を見直すことなどが重要です。おしゃれな注文住宅を目指して複雑な見た目にする施主は多いですが、シンプルな外観は耐震性やセキュリティの面でも多くのメリットが得られますし、外壁や屋根の面積を減らせるのでコストダウンにつながります。建材のグレードを下げるという方法もありますが、その場合は安全面や見た目の印象なども考慮してから選ぶようにしましょう。

内装の場合

窓やドアは、既製品のサイズにすることで材料費を抑えられます。また、これらのサイズを減らせば工事費もコストダウンできるでしょう。
同じ広さ・間取りであっても、和室は一般的に洋室よりも高額になりやすいです。基本的にフローリングにして、部分的に畳を取り入れるなど、工夫した間取りにしましょう。
また、ハイグレードなキッチンやバスルーム、電動シャッターやエレベーターなど、つけたくなる設備・仕様も多くありますが、故障した時の修理費やメンテナンス代、実際の使用頻度など、優先順位や費用対効果についてもよく考えた上で絞り込むことをおすすめします。

削ると後悔しやすいポイントについて

予算オーバーになった場合はどこかを削る必要が出てきますが、家族の意見が一致したとしても、実際に削れば後悔するポイントがいくつかあります。削ると後悔しやすいポイントはどこか見ていきましょう。

防犯性

家は安心できる場所にしたいものです。防犯性については、たとえ住宅街であっても人通りが少ない時間帯などもあるので、空き巣や強盗のリスクは極力抑える設計にしましょう。
具体的には、周辺の治安や人通りについて事前に調べておくとともに、複製が困難な鍵付きのドアや面格子、防犯ガラスなどの設備を導入すること、侵入しやすい場所の窓はあまり大きいサイズにはせずに防犯性能の高いものを選ぶこと、外部からの視線を遮りながら、できるだけ死角を作らないようにすることなどが重要です。
普段留守や子供だけの在宅が多い家庭は、防犯カメラやカバー付きの魚眼レンズ、カメラ付きのインターフォンなどの導入も検討しましょう。

断熱性・気密性

春や秋など季節のいい時期に住宅購入をすると、見落としがちなのが断熱性や気密性です。断熱性や気密性で費用を削ると、寒暖の影響を受けやすく、快適性の低下やエアコンなどの光熱費も高額になりがち。寒暖の差が激しく体調を崩してしまう可能性もありますので、断熱には十分こだわりたいですね。吹抜けなど冷暖房がききにくい設計の見直しや、窓・ドアなどの外気が入りやすい場所は気密性の高いものを使って屋根や外壁にも断熱材を入れておくのがおすすめです。

優先順位の高い間取りや設備

優先順位が高い間取りや設備が高額な場合、一つ削ることで他の希望を残せるから…と優先順位に関係なく削る施主もいらっしゃいます。しかし、もともと優先順位が高い要望やこだわりは生活において大きな割合を占めており、今の生活で不満や不便さを感じているから改善したいと考えているケースが少なくありません。この場合、むやみに優先順位の高いこだわりを削るよりも、優先順位の低い部分をいくつか削ったほうが住み始めてからの満足度が高くなりやすいです。そのこだわりを削った場合にどのような生活になるのかを具体的に想像してから判断するようにしましょう。

ポイントを押さえて、満足度の高い住宅選びをしましょう

このような注意すべき点を踏まえて優先順位の低いこだわりを削ることで、満足度が高く、予算内に抑えた内容の注文住宅にすることが可能です。せっかく夢のマイホームを実現しても、無理のある支払い内容では途中で住宅を手放すことになりかねませんし、逆に予算重視でやみくもに内容を削ると、一生に一度の大きな買い物で満足できなくなります。手間を惜しまず、家族でしっかり話し合って理想の注文住宅を手に入れましょう。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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