お金

30代で住宅ローンを組む場合のメリット・デメリットを解説!

住宅ローンを組むタイミングはその後の人生計画に大きな影響を及ぼすので、ベストなタイミングで組みたいところ。そこで多くの人がマイホームを購入する30代でローンを組む場合はどうなのでしょうか。ここでは30代で住宅ローンを組む場合のメリット・デメリットについて解説します。

30代で住宅ローンを組む人が一番多い!

住宅ローンを組む年代は30代が最も多いと言われています。特に30代の方の中には「周りが住宅購入をし始めているから自分も」と思っている方もいるでしょう。それでは、30代で住宅ローンを組む人の割合はどれくらいか、事前に準備している自己資金はどれくらいか見ていきましょう。

30代で住宅ローンを組む人の割合はどのくらい?

2022年10月に国土交通省が発表した令和3年度住宅市場動向調査報告書によると、住宅ローン利用者のうち44.8%が30代ということが判明しています。ほぼ半数が30代であり、30 代はマイホームを購入するタイミングとして意識する人が多いことがわかります。その理由には5年〜10年社会人として働いてみて、ある程度自分のキャリアが見えてくることや人生計画・家族計画がある程度固まってくることが考えられるでしょう。ただ、30代は収入がある程度安定して経済的に余裕は出てくるものの、一括で住宅を購入するほどの貯蓄はない人が多いです。そこで30代のタイミングで、今後の人生設計を考え、少しずつ返済ができる長期のローンを組んでいます。

30代で融資を受ける場合の自己資金はどのくらい?

マイホームを購入するのに100%融資というわけにはいきません。基本的にはある程度頭金を用意したうえで、足りない分をローンで補います。自己資金があまりにも少ないと、ローンが高額になってしまうのでできるだけ自己資金を確保した後に購入に踏み切りたいところです。しかしあまりにも自己資金の貯金に時間をかけてしまうと、いつになってもマイホームが購入できません。そこで、30代で住宅ローンを利用した人の自己資金はどれくらいなのでしょうか。

まず住宅ローンを借りられる金額は年収の5倍〜7倍と言われています。ちなみに転職サイトDODAの調査によると、30代の平均年収は447万円。この5倍〜7倍となると、目安は2,250万円〜3,150万円。そして必要な自己資金は購入したい家の金額からこの数字を差し引いた数字となります。住宅金融支援機構が令和4年に発表したフラット35利用者調査のデータによると、住宅の購入金額の全国平均は、最も安い中古の戸建住宅で2,614万円、最も高いマンションで4,818万円と判明しています。この金額からすると、住宅購入にあたっては500万円〜2,000万円程度用意しておきたいでしょう。

30代で住宅ローンを組む場合のメリット・デメリット

30代で住宅ローンを組むのは一長一短です。30代で住宅ローンを組んでマイホームを購入する人が多いからと言っても必ずしも30代が自分にとってのベストタイミングとは限りません。それでは、30代で住宅ローンを組む場合のメリット・デメリットを紹介します。メリット・デメリットを比較して自分は30代で住宅ローンを組むべきか考えてみてください。

メリット

30代で住宅ローンを組むメリットには、月々の返済金額を少なめに、長期のローンを組める点が挙げられます。一般的な定年は65歳。そして住宅ローンは一般的に最長で35年です。30代は定年までに余裕があるので、長期のローンを組みやすい傾向にあります。30代は収入に余裕が出てくるとは言え、大きな買い物をするほどの余裕があるほどの経済力がある人は少ないでしょう。そこで30代のうちは無理のない少額の返済を行い、出世してある程度年収が上がったタイミングで返済ペースを上げるという返済プランも可能になります。

また、まだ健康である30代は住宅ローンの審査も通りやすいです。住宅ローンの審査では、年収や勤務先だけでなく、継続して返済ができるかどうかを判断するために健康状態もチェックされます。30代はまだ健康に働ける年齢ですし、加えて完済時もまだ定年前なのでお金を貸しても大丈夫と判断されやすいと言えるでしょう。

そして35年ローンを組んで繰り上げ返済をするとして、30代だと完済から定年まである程度時間があるのもメリットです。老後の貯蓄はできるだけ多く確保しておきたいところでしょう。持ち家なら完済後は家賃が発生しないので、その分を貯蓄に回せます。早めに住宅を購入するのは老後の経済的な余裕にも繋がると言えます。

デメリット

30代は仕事や生活が落ち着くとは言え、昇進のためにいきなり転勤を言い渡されてしまったり、転職をして少し年収が下がったりする人も少なくありません。せっかく住宅を購入したのに想定外のことが起こり、経済的に生活が苦しくなってしまう可能性もあるでしょう。また、ある程度家族計画を固めた状態で住宅を購入したけれども、子供が予定より多く産まれて家が手狭になってしまうことも想定されます。このような予定外のことに対応するためにも、マイホームは事前に入念な計画を立てることが大切です。

また、住宅ローンの返済が子供の教育費用を圧迫してしまう可能性もあります。現代では大学まで進学する子供も増えているので、住宅ローンの返済だけでなく子供の教育・進学費用の貯蓄分も考えて、ローンを組む必要があるでしょう。

30代で住宅ローンを組む場合の注意点

30代で住宅ローンを組むのはメリットが大きいですが、注意点もあります。それでは30代で住宅ローンを組む際の注意点を確認しましょう。

30代でも前半と後半で住宅ローン返済のめどが変わる

30代でも前半と後半で完済のタイミングが変わるので、完済時の年齢についてよく考えたうえで住宅ローンを契約することが大切です。まだ前半でローンを組んだ場合は定年前に完済できるでしょうが、後半の場合35年ローンだと70歳〜75歳で返済が終わることになります。定年後は収入が大幅に減って返済が厳しくなってしまう可能性があるので、繰り上げ返済を視野に入れるなど、定年前に返済が終えられるように工夫する必要があるでしょう。

未返済のローンやその他の借り入れをチェックしておく

住宅ローンの申し込みにあたって、未返済のローンや他の借り入れに問題が無いかもチェックしましょう。住宅ローンでは高額なお金を貸し出すので、融資する側も審査に慎重です。未返済のローンなど他の借り入れと住宅ローンの返済を同時進行で行ってもちゃんと滞ることなく返済できるか、そもそも滞納が無いかなども審査の際にチェックされるので、住宅ローンに申し込む前に確認しましょう。

転職後すぐの人は住宅ローンが通らない場合も

転職してすぐだと、1つの職場での勤務期間が短いとして住宅ローンの審査に通らないことがよくあります。その理由には、短期離職を何度も繰り返している人で年収が上がる人はなかなかいませんし、離職している間返済が滞ってしまうリスクが高くなることが考えられます。ただ、転職してすぐにローンに申し込む人の中には、昇給や昇進などプラスな理由で転職している人もいるでしょう。この場合転職した目的を伝えておくと審査に反映してくれる可能性があるので、ローンの相談会などのタイミングで担当者に短期離職の可能性が低いと判断してもらえるように転職目的を伝えておくのがおすすめです。

30代でのマイホーム購入はメリットが大きい!

30代で住宅ローンを組むと、長期のローンで少額の返済ができるのが大きなメリットです。また定年まで時間があるので、余裕を持って返済ができるのも魅力的でしょう。転職など不安定な部分もあるとは言え、まだ時間に余裕がある分返済計画が崩れてしまっても立て直しやすいです。このように30代で住宅ローンを組むのはメリットが大きいので、30代で住宅を購入するか悩んでいるなら、ライフプランをしっかりと組み、前向きに検討してみてください。

監修 大森 英則氏

FP相談室/ファイナンシャルプランナー

主に個人のお客様のお金にまつわる様々なご相談(教育費・住宅費・老後費用など)を承り、お客様の紹介を中心に活動させていただいてます。具体的な事例を交えたわかりやすいご案内が特徴で、企業様や市町村にてセミナーを実施。また同業の営業の方の研修も行っています。金融資格だけでなく、ピンクリボンアドバイザー、認知症介助士、住宅ローンアドバイザーなどの資格を持つ異色のファイナンシャルプランナーです。

https://oshiete.chunichi.co.jp/owari/pro/82/

他の記事を読む