家づくり

環境に配慮したサステナブルな家づくり

環境に配慮したサステナブル住宅は、未来の環境問題の解決に貢献できるだけでなく、居住する人の健康や快適さにおいてもメリットがあると言われています。そこで、サステナブルな住宅とはどのようなものなのか、メリットや家づくりのポイントなどをご紹介していきます。

環境に配慮した、サステナブルな家づくりについて考えよう

そもそも、サステナブルな住宅とはどのようなものなのでしょうか。まずは、その特徴について見ていきましょう。

サステナブルな住宅ってどんなもの?

サステナブルとは、持続可能、もしくは維持できる、耐えるという意味の言葉です。いわゆるSDGsSに該当する言葉であり、サステナブルな住宅も、エネルギー消費を極力減らすことを目的とした住宅ということになります。従って、サステナブル住宅は持続や維持、継続を前提とした環境対策に貢献する住宅ということになり、設計や施工、運用において地球や地域、生活等の環境に配慮した住宅ともいえるでしょう。

サステナブルな住宅の特徴とは?

では、具体的にどのような点がサステナブルな住宅の特徴といえるのでしょうか。例えば、環境対策として省エネ住宅である点は避けられません。サステナブル住宅では、地球環境への負荷を抑えるため、太陽光発電のシステムを取り入れてガスや電力の消費を抑えたり、機密性の高い住宅設計にして夏や冬のエアコン消費量を抑えたりする工夫がなされています。また、長く住み続けることによって取り壊しや新築によるエネルギー消費を抑えることも重要です。耐久性の高い素材や設計を用いて建て替えの回数を減らすとともに、可変性のある間取りで家族構成が変わった場合でも快適に住み続けられる工夫も必要となるでしょう。無垢材のように処分するときの環境に対する影響を抑えられる素材を使用し、居住者がシックハウス症候群などに悩まされない住宅にすることも必要です。

サステナブルな家づくりをするメリット

サステナブルな家づくりは、環境に配慮している点で評価されていますが、実際に住む人にとってもさまざまなメリットが期待できます。具体的にどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

快適さを長続きさせることができる

高断熱の住宅は、外気による影響を受けにくく夏の暑さや冬の寒さを和らげるため、冷暖房に頼らずとも快適に過ごすことができます。無垢材のような自然素材を用いる場合も、やさしい風合いや肌触りで空気も気持ちよく感じられるでしょう。加えて、耐久性や耐震性の高い設計、そして素材選びをしているため、適切なメンテナンスをすれば長く快適に過ごすことができます。間取りの可変性も考慮されているため、家族構成やライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるでしょう。

不健康のリスクが減ることも

サステナブルな住宅は、間取りや使用する建材など、地球環境に配慮して考えられています。基本的に、環境にやさしい素材を使いながら健康面にも配慮した快適な居住空間を目指していますので、シックハウス症候群の要因となるような設計や建材選びをすることもありません。有害な成分を発生させる建材を使わず、非常時にも気密性の高い設計でエアコンなどの利用を抑えながら生活しやすい環境を維持することが可能です。加えて、断熱性能や通気性の向上を意識した設計になっているため、害虫の発生やヒートショックのリスクを抑えることにもつながっています。サステナブルな家づくりをすることで、結果的に健康的な暮らしを叶えることにもなりそうです。


ランニングコストの削減も!

無垢材を極力使用して、再生可能エネルギーを取り入れた住宅となると、通常よりも建築にかかるコストが高くなると思われがちです。実際に、気密性や断熱性の高い窓や壁を取り入れる上、太陽光発電や蓄電池を備え、高効率な空調や照明を使用したサステナブル住宅は、建築コストにおいては一般住宅よりも高くなりがちです。しかし、建築の段階では費用負担が大きいものの、実際に住んでから発生するコストについては、かなりコストパフォーマンスが高いといわれています。エアコンを必要とする夏や冬でも快適な室温や湿度を保つことができ、耐久性が高いので冷暖房やメンテナンスのコストを抑えられ、太陽光発電などの導入でランニングコストが大幅に削減できるなど、さまざまな恩恵を受けられます。加えて、地域によってはサステナブルな住宅を建築する場合には補助金を受けられることもありますので、さらに価格的なリスクを減らせるでしょう。

サステナブルな家づくりのポイント

では、サステナブルな家づくりをするにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。サステナブルな家づくりのポイントを挙げてみましょう。

太陽光発電の導入

サステナブルな住宅では、建材だけでなく日々の生活においても自然エネルギーを積極的に取り入れることが推奨されています。具体的には、太陽光発電や地熱、雨水の利用などが挙げられるでしょう。中でも、太陽光発電の設備があると、断熱構造だけでは賄えない空調や日々の生活に必要な電力を購入することなく、自力で用意することが可能です。太陽光発電は二酸化炭素などの温室効果ガスを発生することなく利用できますし、災害時など送電が止まったときにも安定して電力を供給できる点が非常に優れています。余った電力は売電することもできますし、蓄電して曇りや夜間など、太陽光発電では電力が賄えないときに活用することも可能です。

リチウムイオン蓄電システムを考える

太陽光発電などで入手できた電力も、日中は不在しがちな家庭や夜間に多く電力を使う家庭では、十分に活用できない可能性があります。そんな時には、電力をためやすい時間帯に蓄電システムに電力を蓄え、使用電力が多い時間帯に蓄電した電力を使用するようにした方が効率的です。蓄電システムにはさまざまなタイプがありますが、リチウムイオン蓄電システムは軽量で耐久性があり、放電電圧量も多いことから重要視されています。使いきりタイプのリチウム電池とは異なり、リチウムイオン蓄電システムならば必要に応じて何度も使うことができますので、災害時の非常用電力としても重宝するでしょう。ちなみに、何度も使うことができる二次電池にはニッケル水素電池やニカド電池などがありますが、リチウムイオン蓄電システムはレアメタルを使うために製造コストはかかるものの、これらと比べても耐久性が高く600回近い充電が可能なため、採用を検討したい設備です。

サステナブルな資材の使用

サステナブルな住宅では、資材の活用にも配慮されています。例えば、日本家屋で使用頻度の高い木材に関しては、国産材の活用が推奨されています。外材と比べると比較的高額で取引されていますが、輸送に必要な燃料などを抑えることができますし、日本の温度変化や湿度の差に対応できる木材を使うことで、より過ごしやすい室内環境をつくることが可能です。元々、木材はコンクリートや鉄骨などの材料と比べて二酸化炭素の排出量が少なく、適度に伐採や植林をすることで二酸化炭素の吸収にも有効であるといわれています。その結果、快適な住宅を建てられるだけでなく、環境の改善にも貢献しています。

ライフスタイルや希望に合わせてサステナブルな家づくりを

サステナブルな住まいは近年環境問題が深刻になっていることもあり、かなり注目されています。無理に時流に乗る必要はありませんが、環境に配慮した家づくりをすることで、実際に暮らす自分や家族にとってもさまざまなメリットが得られそうです。ライフスタイルや予算をふまえて、できる範囲で環境への配慮を取り入れてみてはいかがでしょうか。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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