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家づくり
建ぺい率・容積率とは?|緩和されるケースを解説します!
目次
建ぺい率と容積率
住宅を建てる条件に関わるのが「建ぺい率」と「容積率」。この2つの条件によって、土地の中で建てる住宅の設計が変わってきます。建物を建てるには、この建ぺい率と容積率の条件を両方とも守らなくてはいけません。最初に知っていないと、後々思った家が建てられなかったということになってしまいます。それぞれの意味合いについて詳しく解説します。
建ぺい率とは
建ぺい率とは、敷地面積に対して建てられる建築面積の割合を意味します。図面上、真上から見た敷地面積と建物面積で算出する割合です。例えば建ぺい率50%とした場合、100㎡の土地面積には50㎡までの家を建てられるということになります。
容積率とは
容積率とは、敷地面積に対する家の延床面積の割合を意味します。延床面積は、全ての階の面積を合計したものです。2階建ての家であれば、各階の面積を合計した数字になります。例えば、容積率80%とした場合、100㎡の土地に80㎡までの延床面積が可能。80㎡の延床面積は、1階が50㎡、2階が30㎡というイメージです。
建ぺい率と容積率の決まり方
建ぺい率と容積率は、その用途地域によって変わります。どの土地でも同じではないので注意しましょう。用途地域は大きく分けると「住居系」「商業系」「工業系」の3つで、そこからさらに細かく13個に分類され、住居系はその中に8個があてはまります。13個それぞれで、建築条件、建ぺい率、容積率が変わります。
<住居系に当てはまる8個の用途地域>
・第一種低層住居専用地域
・第ニ種低層住居専用地域
・田園住居地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
建ぺい率と容積率がなぜ必要なのか
建ぺい率と容積率で制限を設けるには理由があります。建ぺい率は隣接する土地の建物が、密接し過ぎないように調整するため規制をしています。建物同士の密接を防ぐことで、地震や火災などのときに建物の被害拡大を防ぐように考えられたものです。また、それぞれの土地の家が、日当たりや景観を平等に確保できるようにしたい目的もあります。容積率も建ぺい率同様に、日当たりや景観を平等に確保する目的に加え、人口が密集してしまうことを軽減するための規制です。容積率の規制があることで、建物の大きさに制限がかかるので、周辺環境とのバランスがとれます。
建ぺい率と容積率の計算方法
建ぺい率と容積率を算出するときに必要となる、建築面積と延床面積は、建設するときに届け出をだす「建築確認申請書」で確認をします。建ぺい率の計算式は、「建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100」
建築面積は、家の外壁や柱の中心線で測った水平投影面積です。バルコニーは1m以下であれば、建築面積に含まれないので注意しましょう。そして、容積率の計算方法は「容積率(%)=延床面積÷敷地面積×100」
延床面積は各階の面積を合計した面積ですが、「玄関ポーチ」「吹き抜け」「バルコニー」「地下」など、延床面積に含まれないケースもあります。面積の測り方には、いろいろなケースがあるので注意が必要です。
建ぺい率と容積率が緩和される
建ぺい率と容積率は、用途地域それぞれで上限があります。住宅系の用途地域の中でも、特に低層住居地域は制限が厳しく、大きな建物を建てるには不向きな用途地域です。しかし、中には建ぺい率と容積率が条件によって緩和されることもあります。条件を満たすことで建物の設計が変わってくるので、よく調べておきましょう。
建ぺい率が緩和される条件
建ぺい率が緩和されると、敷地面積に対して広く建物を建てることができます。緩和される条件は、「角地であること」「防火地域内の耐火建築物」といった条件が対象です。その他も含め、建ぺい率が緩和される条件は以下となります。
<緩和される条件>
・街区の角にある敷地であること
・道路に挟まれた敷地であること ※行政によって異なります。
・公園、広場、河川に接する敷地であること ※行政によって異なります。
・防火地域
・準防火地域
・耐火建築物等
容積率が緩和される条件
容積率が緩和されると、延床面積が増やせるので階数を多くできる可能性が出てきます。緩和される条件は、建物の構造によって左右されるケースが多いです。容積率が緩和される条件は以下となります。
<緩和される条件>
・建物内に地下室がある場合:建物の延床面積の内、1/3を上限として容積率の算出から除外可能です。
・建物内に駐車場がある場合:建物の延床面積の内、1/5を上限として容積率の算出から除外可能です。
・屋根裏収納やロフトがある場合:屋根裏収納やロフトの天井高さが1.4m以下であれば、直下階の床面積の内1/2を上限として容積率の算出から除外可能です。
・ベランダやバルコニーがある場合
ベランダやバルコニーが外壁から2m以下であれば、延床面積に含まれません。
・幅15m以上の特定道路から一定範囲内に敷地がある場合:特定道路までの距離が70m以内にある土地は、その距離に対して容積率を加算できます。
その他の気を付けるべき建築制限
建築条件は、建ぺい率と容積率だけではありません。建ぺい率と容積率はもちろん、その他の建築条件を含めて守られなくては違法となります。違法建築が発覚した場合、住宅ローンを組めなくなるケースもあるのでよく注意しましょう。家を建てる際に気を付けたい建築制限は以下となります。
<建築制限の種類>
・道路斜線制限(前面道路への日照を確保するため)
・北側斜線制限(北側敷地への日照を確保するため)
・日影規制(近隣の日照を確保、自治体ごとの高さ上限規定)
・高度地区(低層住居地域で適用される高さ制限)※絶対高さ制限
・容積率の前面道路制限(接してる道路幅が12m未満の場合の制限)
斜線規制
斜線規制は、隣接した建物の採光や風通しに弊害を起こさないための規制です。主に建物の高さ規制となり、北側斜線制限では建物の北側の日照確保。道路斜線制限は、道路幅の傾斜勾配を1.25倍または1.5倍以下の高さに規制する役割があります。北側斜線制限は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、田園住居地域が対象です。また、日照規制に関わる場合は、中高層住居専用地域における北側斜線制限は対象外となりますが、より制限が厳しい方が適用されます。
日影規制
日影規制は、建物の高さに関わる規制です。周辺の土地への日照を確保することが定められており、日照時間が最も短い冬至の日が基準日とされています。商業地域、工業地域、工業専用地域以外は、すべて日影規制の対象地域です。細かな基準は各自治体で決められるため、役所に確認をしましょう。
監修 一級建築 代表取締役 原 康人氏
株式会社三建コンサル
個人・法人のお客様から土地や建物に関するご相談(空き家、相続、土地建物の売買など)を伺い、ご提案をしながら一緒に解決策を見出しています。建築設計はもちろん、土地の測量、農地転用や市町村の申請書類作成も行っており、「土地から建物の相談役」として皆様のお役に立てるよう努めています。