家づくり

注文住宅の外観を見るポイントは?

この記事では、注文住宅を建てる際に「外観で重視すべき3つのポイント」をお伝えします。
デザインで間違いやすい注意点や、外観に求めたい機能性、さらに、外観に使用する素材のコストやメリット・デメリットをご紹介していきましょう。

外観のデザイン

“家の顔”ともいうべき外観は、注文住宅の満足度を左右する大きなポイントの一つ。外観のデザインやスタイルは実にさまざまで、近年人気のものとして、例えば、屋根の軒を出さないすっきりとしたフォルムやキューブ型などのシンプルモダン、伝統的な日本建築の和と現代的なデザインが融合した和モダン、南欧風・北欧風をはじめとするヨーロッパスタイル、カントリー調・アーリーアメリカン・サーファーズハウスといったアメリカンテイストなどがあります。単純に好みで選びがちな外観のデザインですが、注意した方が良い点もありますので、デザイン選びの際のチェックポイントを挙げていきます。

外観のデザインを選ぶ際の注意点

外観のデザインは雰囲気やイメージで選びがちですが、外から見たときに目につきやすい屋根と窓に重きを置いて選ぶと良いでしょう。例えば、屋根はどれだけの傾斜をつけるかで印象が違ってきます。窓は外観のアクセントにもなるため、採光・通風などの機能性を考慮しつつ、見え方に注意を払うと建てた後の満足感が高くなるようです。また、外観に多くの要素を入れすぎないよう注意します。展示場やカタログを見るといろいろな素材やカラーを使いたくなるものですが、気に入ったものすべてを盛り込むと統一感がなくなってしまったり、見た目のバランスが崩れてしまうことがあります。

具体的なチェックポイントは?

家の外観を考える際、まずは住みたい家のイメージを持つことがポイントです。特に、屋根の形状とカラーは外観に与える影響が大きいもの。瓦など厚みがあり色の濃い屋根材を使うと重厚感が増しますし、逆に小割りのデザインでブラウン系の屋根は若々しくライトな印象になります。外壁の色味については、ベースカラーとアクセントカラー2色を組み合わせる形にするとすっきりした印象の外観になるでしょう。加えて、明かりの有無で外観の印象は大きく変わるので昼夜の見え方の違いも考慮しましょう。また、近隣の住宅の色やデザインも考えつつ自分らしさを打ち出すと美しい街並みが生まれます。周囲との調和も考えるとさらに良さそうです。

機能性について

建物の外観は見た目に加えて機能性を考える必要があります。デザインだけで注文住宅の外観を決めてしまうと、健康的な室内環境を保つことができなかったり、頻繁にメンテナンスが必要になってしまうなど、住みやすさを阻害する原因にもなりかねません。そこで、外観に求める機能のうち、特に重要な3つの点に絞って説明していきます。

日当たりや風通し

注文住宅の外観の機能性のうち重要なのが、日当たりや風通し、断熱性です。日当たりや風通しを十分考えて窓を設置しましょう。庭やテラスを設けると、健康的に過ごす環境が整ううえに家族団らんの時間を増やせるかもしれません。断熱性に配慮すれば、各部屋の寒暖差を少なく抑えられるためヒートショックなども防げますし、冷暖房効率も上がってエコです。なお、以前は耐震や断熱を意識して窓を小さくしていましたが、いまは高い強度を保つ構造の注文住宅も多く、壁いっぱいに広がる大きな窓を設けても耐震基準を満たせるケースも珍しくありません。また複層ガラスの窓や二重サッシを採用すると冬でも温かく過ごせます。暮らし始めてからの家族の健康や快適性を十分考えた設計をおすすめします。

防犯性

住む人や設備などを雨風から物理的に守るだけでなく、防犯機能も期待できると頼もしいですね。防犯を考えた外観というと、敷地内が全く見えないよう壁で覆うイメージを持つ方もいるかもしれませんが、そうすることで不審者が敷地に入った場合に周囲から気づかれず、かえってセキュリティ性が低下する心配も。そこで、周囲の目を防犯対策に活用する視点が必要です。例えば、家の周囲に設けるフェンスを格子状にして、通り抜けできない程度に隙間を作るなどして見通しを確保すると良いでしょう。

メンテナンス性

注文住宅は建てれば終わりではなく、外観もメンテナンスが必要です。雨風を直接受ける屋根や外壁は、地域性や立地条件などによって思ったよりも劣化が早く進むケースも見られます。複雑な形状の建物や、補修しにくい材料などを使用すると点検や修理が難しくなってしまったり、余分な費用がかかる場合もあるため、将来のメンスナンス性を加味して外観を考えましょう。いま住んでいる場所と離れた地域に注文住宅を建てる場合は、その土地で多用されている素材や建築方法などを参考にするとメンテナンスに労力がかからない家を建てられるかもしれません。

コスト面も考える

注文住宅の外観は、デザインや機能とともに、コストとのバランスを考えたいものです。コストには注文住宅建設時のイニシャルコストと、住み始めてから修理やメンテナンスにかかるランニングコストの両方が含まれます。おしゃれでお値打ちな素材を使用しても、余分なメンテナンスコストがかかってしまっては本末転倒です。外壁・屋根・窓やドアに使用される素材のコストに加え、それぞれのメリット・デメリットについて紹介しますので参考にしてください。

外壁の素材

外壁材で一番安価とされるのがモルタルで、1平方メートル当たりの単価は1,500円から4,000円ほど。ただし、モルタルは職人が手作業で施工するため、人件費などがプラスされ全体的な金額は上がります。トータルコストがリーズナブルで工期が短い点が人気の窯業系サイディングの素材単価は3,000円から6,000円程度です。セメントや生石灰に発泡剤を加えて作るALC外壁は断熱性や耐久性も期待できますが、単価は7,000円から15,000円ほどと高めになります。

屋根の素材

色やデザインの種類が多く、低価格な屋根材の一つがスレートです。軽くて耐風性がありますが、メンテナンスの頻度は高めです。スレートの1平方メートルあたりの価格は4,000円から8,000円程度となっています。スタイリッシュなガルバリウム鋼板は、軽くて丈夫なうえに防水性が高い点でも人気があります。単価は6,000円から12,000円ほどですが、耐用年数が30年から40年と比較的長くなっています。ただし、キズやへこみに弱いため、地域や場所によっては注意が必要でしょう。ガラス繊維にアスファルトを浸透させたシート状の屋根材であるアスファルトシングルは防水性に加えて防音性があり、価格も安いことから採用されることも増えています。単価は3,500円から12,000円ほどで、強風でめくれやすいデメリットを補う長期保証が付いていたりデザイン性に優れているものは単価が高くなる傾向にあります。

窓やドアの素材

窓はガラスやサッシの種類により価格が異なり、取り付け枚数でトータル金額が違ってきます。例えば、120センチ×170センチの窓は、一般的なガラスであれば38,000円から45,000円ほどですが、防犯に対応した強化ガラスのものだと55,000円から70,000円程度になります。二重窓になると50,000円から70,000円ほどです。また、サッシを耐久性の高いアルミ製にすると100,000円から250,000円ほどになります。
ドアの素材については、木製は断熱効果が高く、唯一無二の模様や色合いが楽しめる点でも人気です。ただし、木製のドアには防汚性能のある塗料が塗られているため定期的なメンテナンスが必要です。アルミ製のドアは軽くて光沢があり、デザインが豊富でいて耐久性がある点がメリットですが、断熱性が高くないため寒暖差がある地域の使用には向いていないかもしれません。機能性とデザイン性の両方を兼ね備えているものとしてスチール製のドアがあります。防火・防音性能が高く、価格も安めで、白やベージュ、茶色など落ち着いた色合いのものが多いため、どのようなデザインの注文住宅にもマッチするでしょう。
なお、ドアの価格は種類により異なります。片開きのドアの場合は100,000円から250,000円程度で、片開きのドアに小さい扉を付けた親子ドアは150,000円から300,000円ほど。左右対称に開く両開きドアは200,000円から350,000円程度が相場です。和風の注文住宅で採用されることが多い引き戸は150,000円から300,000円ほどが目安になります。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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