家づくり

憧れの「吹抜け」がある家。そのメリットや注意点などを解説します。

開放感たっぷりで、おしゃれな室内空間が演出できる「吹抜け」。新築の一戸建てを建てるなら、「憧れの『吹抜け』を取り入れたい」と考える人は多いのではないでしょうか?
ここでは、吹抜けの家のメリットや注意点を解説していきますので、吹抜けを取り入れた家づくりを検討している人は、ぜひ参考にしてくださいね。

1.吹抜けのメリットは?注意点は?

吹抜けの定義とは?

「吹抜け」とは、上と下の階の間に床を設けない空間のことです。家に吹抜けをつくることで、より開放的で伸びやかなスペースに仕上がります。主にリビングや玄関部分に設けられることが多い傾向にあります。

吹抜けのメリット

開放感のある部屋になる
抜けの一番のメリットと言ってもいいのが、「開放感のある室内空間になる」ことです。1階と2階のスペースを吹抜けにすることで、天井が高くなって開放感のある伸びやかな空間になります。
特に狭い敷地に建てる狭小住宅の場合は、吹抜けを設けることで家の中を広く見せる演出ができるのでおすすめです。

部屋の中に自然の光を取り入れやすい
吹抜けをつくると自然光を取り入れやすくなって部屋の中が明るくなります。特に冬場は自然光が入りにくく室内は暗くなりがちですが、吹抜けがあると、2階の窓からの光を1階にも取り込むことができます。
冬場でも室内に自然光をしっかりと取り入れられるので明るさを確保できるでしょう。日中は自然光だけで過ごすことも可能です。日中に照明を点ける回数が減りますので電気代の節約にもつながります。

 

家族とのコミュニケーションを取りやすい
吹抜けは「家族とのコミュニケーションが取りやすい」という魅力もあります。1階と2階の間の天井をなくすことで、家のどこにいても“家族の気配”を感じられるようになります。2階から1階にいる家族に声をかけるなどもスムーズで、家族間コミュニケーションを取る機会が増えるでしょう。
リビングに階段を設ける間取りにすれば、家族の出入りも確認しやすく、自然に家族と顔を合わせるようになります。

デザイン性の高い家になる
吹抜けを取り入れると、おしゃれな家になるというメリットもあるでしょう。吹抜けは洋室だけではなく和室にも合うので、自分の好きな雰囲気の部屋をデザインすることが可能です。背の高い観葉植物やペンダントライトといったインテリアアイテムとの相性が良いのも魅力の一つ。
吹抜けを設ける際は、窓や天井部分のデザインにもこだわると、よりおしゃれな空間に仕上がります。また。吹抜けは2階や廊下から1階が見えやすいため、吹抜けがあるスペースをきれいに整理整頓しようという気持ちも生まれやすくなると言われています。

風通しが良い
吹抜けを設けて1階と2階を繋げることで、光はもちろん、自然と風通しの良い住まい環境にもなります。上と下の窓を開けておくと、空気をしっかり入れ換えることができます。吹抜けの天井にインテリア性の高いシーリングファンを設置すれば、見た目にもお洒落ですし、空気の循環をさらに良くすることができますよ。

吹抜けの注意点

吹抜けは、メリットだけではなく注意したいこともあります。家を建てた後に後悔しないためにもメリットと注意点の両方をしっかり把握しておきましょう。

光熱費が高くなりがち
天井が高い吹抜けがあると空間が広くなるため光熱費が高くなりがちです。特に夏場は外からの強い光が入りやすい分、部屋の中が暑くなりやすいですし、冬場は暖かい空気が上に逃げてしまいます。そのため、吹抜けがある空間は部屋全体に冷暖房が効くまでに時間がかかり、効率も悪くなるため普通の部屋よりも光熱費が高くなってしまいがちなのです。
光熱費の対策としては、空気を循環させるシーリングファンや床暖房などを活用するのもおすすめの方法です。ただ、最近は断熱性の高い住宅が多いので、冷暖房の効きに関してはそれほど気にする必要はないでしょう。

高所の掃除がしづらい
吹抜けをつくると、高所の掃除がしづらいというデメリットもあります。
吹抜けのある窓は結露しやすく、カビが生えやすいとも言われています。そのため、定期的な掃除が必要になるのですが、高所の窓を掃除する際は、足場をつくらないと掃除ができません。また、照明の交換や壁のクロス張替えなども大変ですので、専門業者に作業を依頼する必要も出てきます。
自分たちで対応できないメンテンナンスは費用がかかるので注意しましょう。自分で掃除をしたい場合は、掃除用の通路やバルコニーをつくるなどの工夫が必要です。

音やニオイ、煙が伝わりやすい
吹抜けがあると、リビングでの生活音や話し声が家に響き渡ってしまい、音が気になるという不満が出る可能性があります。プライベートを確保したい部屋には防音対策をしたり、音が響きにくくなる吸音材の使用などを検討すると良いでしょう。また、リビングとキッチンがあるスペースに吹抜けがあると、料理中のニオイや煙が広がりやすくなります。特に吹抜けに近い場所で洗濯物を干すと、ニオイや煙が洗濯物に移ってしまうので注意が必要です。
料理のニオイを広げたくない場合は、キッチンを個室または半個室にすると良いでしょう。

2階のスペースが狭くなる
本来であれば部屋になる部分を吹抜けにするため、どうしても2階のスペースが狭くなります。家族の人数が多く部屋をたくさん設ける必要がある場合や、2階に広いスペースの部屋がほしい場合は、吹抜けをつくるは難しいかもしれません。
2階の部屋の広さを確保したいなら、収納スペースなどを減らすといった工夫が必要になるでしょう。2階にスペースが少ない分、階段下のデッドスペースを活用して収納スペースや書斎をつくるなどもおすすめです。
家を建てた後に後悔しないために、吹抜けを設置したとしても必要な部屋数や収納スペースを確保できるかを確認しましょう。

耐震性が下がる可能性がある
新築住宅を建てる際に欠かせない性能の一つが耐震性です。吹抜けのある家は、柱が少なくなったり窓を大きくすることで壁が少なくなり、場合によっては耐震性が下がる可能性もあります。
選ぶ構造・工法や設計の仕方で耐震性は高められますので、地震に強い家を設計してくれる会社を選ぶようにしましょう。

2.吹抜けにするときに気をつけたいこと

吹抜けにするときは、どのような点に気をつければ良いのでしょうか

照明やバランスを意識しましょう

吹抜けを設ける際は、照明やバランスを意識しましょう。あまり高い位置に照明を付けると住まいのバランスが悪くなってしまいます。また、窓の大きさや高さにも注意しましょう。窓の大きさや高さがバラバラだと、下の階から見たときにアンバランスな印象となります。下の階からの見え方も考えて、照明や窓のいいバランスを考えましょう。

掃除などのメンテナンスのことも考えましょう

掃除などのメンテナンスのことも考えて吹抜けをつくりましょう。手の届きにくい高所は、思い切ってプロに定期メンテナンスを依頼することをおすすめします。高所用の掃除道具もありますが、屋根と同じくらいの高さの部分を素人が掃除するのは危険です。また、吹抜けの天井に設置した照明の交換は大変ですので、寿命が長いLED照明や電動昇降タイプの照明を選ぶと良いでしょう。
電動昇降タイプの照明器具はスイッチで簡単に照明を昇降できるので掃除や電球の交換が簡単です。

3.吹抜けのある家についてのまとめ

吹抜けは「開放感がある」「採光性・通風性が良い」「家族内コミュニケーションが取りやすい」といったメリットがある一方で、「掃除が大変」「音やニオイ、煙が気になる」などのデメリットもあります。吹抜けのある新築住宅を建てる際は、メリットと注意したいことの両方を踏まえた上で、建てたい家に必要なのかどうかを検討することが大切です。
注意点の部分をしっかり対策して、吹抜けのメリットを生かした素敵な家を建ててくださいね!

 

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監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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