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床暖房のある家をつくろう!床暖房のメリット・デメリットを解説!
目次
床暖房は2種類ある
床暖房で温める構造は、大きく分けると「温水式」と「電気式」の2種類があります。この2つの中でも暖房の仕組みはさらに細かく分かれているので、それぞれの種類について詳しく解説します。
温水式
温水式は、床下にパイプを組み込み、温水をパイプに循環させることで、じんわりと足元から温めてくれる方式。温水式に当てはまる仕組みは以下の3つです。
① ガス式
② ヒートポンプ式
③ 灯油式
ガス式は、ガス給湯器でお湯を出すのと同じ仕組みです。ヒートポンプ式は、大気の熱を利用するので安全性が高くエコな方式で、灯油式は、灯油の燃料で温水をつくり出す方式になります。この3つの中では、ガス式を利用するケースが多く見られます。
電気式
電気式は、その名の通り電気による発熱で床全体を温める方式です。電気式に当てはまる仕組みは以下の3つです。
① ヒーター式
② 蓄熱式
③ PTC式
ヒーター式は、床下に電熱線を配置して温めます。蓄熱式は、電気代を抑えるために比較的電気代が安いとされる深夜に熱を貯める仕組みになっています。PTC式は、チップ状の熱源が温度調節をしながら温めてくれます。この3つの中ではヒーター式が多いですが、初期費用がやや安く済む分、ランニングコストがかかるというデメリットがあります。
床暖房のメリット
床暖房が快適なメリットは大きく3つ。自分が求めているものと合っているかチェックしましょう
足先から部屋全体が温まる
温かい空気は上にあがってしまうので、冬場は足先が冷えやすいことが多いです。その点、床暖房は足元からじんわりと温めてくれるので、冷え対策に向いています。床暖房の熱は、壁や天井に反射して部屋全体を温める「輻射熱」で、部屋全体を均一に温めてくれるところが魅力的。これは、近年流行しているサウナも同じような原理です。心地よく温めてくれるので、エアコンにありがちな体の一部しか温まらないということもありません。日向ぼっこをしている時のようなぽかぽかとした温かさで、リラックスできる室内環境が整います。ヒーターのように火を使わないので、火事の心配もなく、小さなお子さんのいるご家庭も安心です。
空気が乾燥しにくい
一般的なエアコンやヒーターを利用した場合、温風によって空気が乾燥してしまいます。床暖房は温風で温めるわけではないので空気が乾燥しにくく、体調不良や肌トラブルの軽減が可能です。空気が乾燥すると喉の痛みや肌荒れにも繋がるので、床暖房はそのリスクを抑えてくれるでしょう。
掃除がラクチン
床暖房は、温風によってホコリやチリを巻き上げてしまう心配がありません。特に乾燥しやすい時期は、エアコンやヒーターの風でもホコリやチリを巻き上げてしまうので、ぜんそくやハウスダウスト、花粉症などのアレルギー症状がある方にも床暖房はおすすめ。家電製品のように配線もないので掃除がしやすく、片付けがいらないのでラクチンです。
結露対策
冬場、部屋を温かくすると窓が結露でビショビショ…という経験はありませんか?結露は室内と外気の温度差で生じるため、床暖房はエアコンやヒーターなどと比べて結露が起こりにくい特徴があります。カビやダニ対策にも繋がるので、衛生面や健康面にもおすすめです。
床暖房のデメリット
メリットの多い床暖房ですが、注意したい点もあります。気になる費用についてもよく知っておきましょう。
施工費が高い
床暖房は、基本的には新築時に設置するものになります。リフォームで床暖房を設置することも可能ですが、床材の張り替えも加わるため施工費が上がってしまうことに。設置面積や温熱方式によってもかかる費用は大きく変わりますが、新築時の設置で1畳当たり6万~9万くらいになるケースが多いようです。エアコンの購入や設置費用と比べても費用は割高です。
メンテナンス費用がかかる
1ヶ月にかかる光熱費の費用は、床暖房とエアコンで比較しても、そこまで大きく変わるものではありません。しかし、電気式は特にメンテナンスが必要ではありませんが、温水式で不凍液を使用している場合は10~15年単位でメンテナンスが必要になります。5万円~数十万円の費用がかかることもあるので頭に入れておきましょう。
部屋が温まるまで時間がかかる
床暖房はスイッチを入れてから部屋が温まるまで少し時間がかかります。エアコンやヒーターと比べても即暖性が劣っているので、短時間しか滞在しない部屋には向いていません。部屋が温まるまでは1時間程度かかると思ってきましょう。主にリビングに設置する方が、より床暖房のメリットが大きいです。
床暖房とエアコンどちらが良いか比較してみよう
床暖房の採用を検討中で、エアコンとどれくらいの差が出るのかを知りたい人も多いでしょう。床暖房とエアコンを比較して、ポイント毎に解決します。
設置費用はどっちが高い?
設置にかかる費用は、床暖房の方が高くなります。エアコンは10万~15万円程度で設置できることが多い中、床暖房を設置するには30万~60万円程度かかることもあります。また、電気式よりも温水式床暖房の方が設置費用は高くなる傾向です。リフォームやリノベーションで床暖房を設置することもできますが、住宅構造や床の仕様によっては対応できないこともあります。床の張り替え費用なども発生するので、新築時の設置よりも費用が高くなります。
光熱費はどっちが高い?
8畳~10畳くらいの室内として、1日8時間を利用したケースで比較した場合、床暖房は、電気式と温水式とでかかる光熱費にも差が出てきます。エアコンの場合は月4,000円程度が目安ですが、床暖房は電気式で6,000円、温水式で2,800円程度の目安になると思っておきましょう。
修理代はどっちが高い?
床暖房は基本的に壊れやすいものではないので、過剰に心配する必要はないでしょう。長期間使用しなくても、それが原因で壊れるということもなさそうです。床暖房の寿命は温水式の場合で約30年程度と言われています。エアコンは耐用年数的にも床暖房よりも修理または交換の機会が多くなりがちです。
温かさはどっちが温かい?
スイッチを入れてから温まる早さはエアコンの方が優位です。エアコンは温風で温めるので、床暖房よりも断然早く室内を温められます。しかし、エアコンの場合は、温風による温かい空気は上に集まってしまうので、足元が冷えやすいという特徴があります。床暖房であれば、室内を温めるまでは時間がかかるものの、じんわりと足元から体を温めてくれます。
監修 野村 綾乃氏
株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役
大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。